野党分裂ですんなり成立か どうなる?働き方改革・カジノ法

2017.12.27

政治

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政府は2018年の通常国会を1月22日に召集。2017年10月の衆院選以降、初めての通常国会で、来年度予算案や重要法案をめぐって与野党の激しい論戦が繰り広げられるだろう。注目は「働き方改革関連法案」と国内でカジノを解禁する「統合型リゾート(IR)実施法案」。安倍政権憲法改正案の提出に踏み切るかどうかも焦点となる。

働き方改革関連法案で与野党が激しく対立

通常国会の会期は150日間。2018年の場合は1月22日から6月20日までで、法案の審議が滞った場合などは1回だけ、延長することができる。

会期の冒頭で安倍晋三首相の施政方針演説などいわゆる「政府4演説」を行った後、2018年度予算案の審議に入り、予算成立後の4月以降に一般の法案審議が始まる見通しだ。野党は予算案の中身のほか、2017年に続いて森友、加計学園問題に関する疑惑、いわゆる「モリカケ問題」について追及するとみられる。

法案については、働き方改革関連法案やIR実施法案のほか、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案などを提出する見通し。政府はIR実施法案と合わせて、すでに与党が提出しているギャンブル依存症対策基本法案の成立も目指す。

中でも与野党が最も激しく対立しそうなのは働き方改革関連法案だ。電通の新人女性社員が過労自殺した問題を受け、政府が打ち出した残業時間の上限規制が柱だが、高収入の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」の導入も盛り込む。

高プロ制度については分裂前の民進党やその支援団体である連合(労働組合)が「長時間労働を助長する」として反対しており、導入の是非をめぐって激しい論戦が予想される。

カジノ法案は与党内に温度差も

IR実施法案も激論必至だ。2016年12月にIR推進法が施行され、新たに設置したIR推進本部で制度の詳細設計を検討したが、日本人に対するカジノ入場料の金額やIRの整備区域の数などの懸案は積み残したまま。

政府は2018年1月に法案の概要を公表し、与党調整を経て3月にも国会に提出する意向だが、カジノの導入をめぐっては与党内にも温度差がある。スムーズに国会提出までこぎつけられるかは未知数だ。

ただ、国会の状況としては与党が国政選挙で勝ち続けてきた結果、衆参両院で過半数を大幅に超える勢力を抱えている。「数の力」に頼めば、いつでも予算案や法案を成立させられる。特に2017年の衆院選前に民進党が分裂し、勢力が民進党や希望の党立憲民主党、無所属と散り散りになったため、なおさら迫力不足。政策的にも温度差があり、まとまって与党に対抗できるとは考えにくい。

世論が騒がない限り野党の批判は痛くもかゆくもない

となれば、与党が気にするべきは野党というよりは世論になる。安倍首相は2018年9月に自民党総裁の任期切れを迎えるため、当面は支持率の大幅な低下は招きたくない。そこで世論に配慮して“熟議”を演出しつつ、効率的に法律の成立を目指すことになるだろう。世論が大きく反発しない限り、働き方改革法案もIR実施法案もすんなり成立する可能性がある。

2018年4月に任期満了を迎える日銀総裁人事も同様だ。大規模な金融緩和を進めてきた黒田東彦総裁をめぐっては、物価上昇2%の目標を達成していないことへの批判も多いが、政府・与党内では続投論が強い。

日銀総裁人事は国会の承認が必要な「国会同意人事」の対象だが、採決にかけてしまえば与党の賛成多数であっさりと可決される。野党は批判するだろうが、世論が騒がない限り、政府・与党にとっては痛くもかゆくもない。

「反対」7割で憲法改正案を出せるのか

注目なのが、世論に最も左右されそうな憲法改正案を提出するかどうかだ。与党や日本維新の会などを合わせた“改憲勢力”は、解散・総選挙を行わない限り、2019年の参院選まで衆参両院で3分の2を占める。いつでも憲法改正案を国会で決め、“発議”できる状況だ。

自民党の萩生田光一幹事長代行は、2017年11月の記者会見で憲法9条への自衛隊明記などを盛り込んだ自民党の憲法改正案を通常国会に提出するとの意向を表明したが、時事通信が実施した12月の世論調査では、2018年の通常国会で憲法改正を発議すべきかどうかとの問いで「反対」が約7割に上った。調査によって数字に違いはあるものの、9条を含む憲法の早期改正について世論がまとまっているという状況にはない。

ただ、特定秘密保護法にしても、集団的自衛権の行使を盛り込んだ安全保障関連法にしても、安倍政権は世論が割れていたにもかかわらず強行突破を図って成功した経験がある。安倍首相は憲法改正に並々ならぬ意欲を見せているだけに、今回も強行突破を図るのか。それとも国会発議の先の国民投票を見据えて世論が温まるのを待つのか。安倍首相の判断に注目が集まる。

通常国会の予算委員会は毎年、“政治とカネ”などをめぐるスキャンダル追求の場となることでも知られる。2018年も新たなスキャンダルに国民の意識が集中すれば、本質的な議論は遠ざかっていくかもしれない。