[ヒト・コミュニケーションズ]日本の雇用形態を革新する 熱き経営者の”人間力”論

2014.3.10

企業

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従来の人材サービスとは全く異なる、新しいビジネスモデルを確立した「ヒト・コミュニケーションズ」は、顧客企業の販売・サービス・営業機能を請け負うマーケティングのプロ集団だ。会社設立15年後には東証一部に上場を果たしている。同社を率い、さらなる挑戦を続ける安井豊明社長に、採用や新社会人へのメッセージを聞いた。

株式会社ヒト・コミュニケーションズ 代表取締役社長

安井豊明 やすいとよみ

1965年8月3日生まれ。大分県出身。高校時代、ラグビー全国大会(花園)準優勝。福岡大学卒業後、富士銀行(現みずほFG)へ入行し、コーポレートファイナンス、中堅中小企業マーケット企画業務に従事。35歳で大手家電量販店へ転職し小売業を学んだ後、2004年より現職。

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ビジネスの原点は顧客目線に立つこと

安井社長は、旧富士銀行を35才で退職し、小売業を学んだ後、「ヒト・コミュニケーションズ」の代表取締役社長に就任。人材サービスにおける新業態を一から作り上げた。

「企画の仕事を希望する人は多いですが、私は絵に描いた餅を食べられる餅に変えるには、汗をかくことが不可欠だと思っています。つまり企画を具現化する力がなくては成功しないということ。銀行時代は多くのカスタマーサービスを学びましたが、いつかリアルなビジネスの現場で自分の力を試したいと思っていました。それがすべてのビジネスの原点とも言われる小売業の世界に飛び込むこととなった動機の一つです」

なかでも商品に差がなく、よりサービスの付加価値そのものが売上げと直結する家電量販の現場において、徹底して顧客目線に立ち、ニーズを読み取っていくことでビジネスの原点を学んだのだという。

その経験を生かして安井社長が創造した新業態こそ、顧客のサービス・営業機能を一手に引き受ける「成果追求型営業支援企業」だ。人材派遣市場が縮小傾向にある中、毎年売り上げを伸ばし、さらにグローバル展開として2011年に上海へも進出した。中国市場にあった接客と日本のおもてなしの心で顧客を集めている。

「これから色々な事業に乗り出していきますが、eコマースなどの登場で労働集約もあり雇用が減っていることも事実。環境の変化と経済の合理性を無視して雇用だけが伸びることはありません。一方で、対面の接客やサービスが必要とされる製品や業種なども出て来ている。それらを融合させて新しいビジネスを創造し、雇用を増やしていくことが今後の弊社の目標となるでしょう」

“生きる力”を持った人物が成功する

高校ラグビーで全国準優勝の経験を持つ安井社長。採用現場においていまだに根強い”体育会神話”があるという。

「体育会出身者は勉学の時間が圧倒的に少ないように思われますが、動体視力や運動神経が常に鍛えられ、脳は絶えず発達を促されています。いわゆる根性だけのスポーツバカなんてよく聞くけれど、それは違う。優秀な経営者やビジネスマンに体育会出身者が多いのもそんな理由があると思っています」

企業はその人物を学歴で判断するところが大きい。語れるものは多いほどいいだろうが、安井社長が何より魅力的だと思うのは”生きる力”にあふれている人物だという。

「特に採用の現場では、社会に出たら絶対に成功してやるというパッションにあふれた人物に惹かれます。生きる力を持った人は、面接でも自分の人生のストーリーをきちんと語れるものです」

自分の人格はどのような影響を受けて形成されてきたのかを整理し、それをふまえて自分の方向性をしっかり見据えられているかどうかが重要なのだ。

「いまどき暑苦しいかもしれないけど、私は汗と情熱を持っていることが大切だと思います。それがなくては何事も成し遂げられない。それこそが生きる力を持った人物と言えるでしょう」

人間は”経験”を越えられない

「社会に出たての若い人でリーダーシップ願望の強い人がいるけれど、フォロワーシップを経験せずにリーダーになろうなんて無謀でしょう」

フォロワーシップとは、リーダーが掲げる目標などを達成するため、組織内の自らの役割を常に考え、リーダーをサポートしていくこと。その経験を経てこそ、リーダーへの道が開かれるのだ。

「部長や課長、社長という役職に向かって最短距離を歩むことは大切ですが、近道は決してありません。私の座右の銘に『人間は経験を越えられない』という言葉があります。人間は経験の先にもっと大きな経験や成功があるけれど、無経験の先には所詮なにもないんです」

リーダーシップやフォロワーシップは、集団のなかで育まれ、指導されたり、励まされたりしながら経験として蓄積されるもの。

「生きる力も経験によって育まれます。若い人たちには時間や労力を惜しまず、たくさんの経験を積んでほしいですね」

政治経済、ビジネスを把握するために必要な3つの目

安井社長は「これから社会に出る人は”虫の目・鳥の目・魚の目”という3つの視点を知ってほしい」という。虫の目とは、目の前の仕事にぐっと集中すること。いい意味で自分本位なプロの視点といえる。そして、ときには俯瞰で全体を見渡す鳥の視線も必要になってくる。社内全体での自分の役割や位置づけ、自分以外の仕事も知るためだ。最後が魚の目。世の中の流れや会社の向かう方向性などを把握する視点だが、この目を持つことはとても難しいという。

「自社のトップの方針や、政治・経済の流れを一番に作り出している国の考えを把握する努力を惜しんではダメ。経営者やトップの人間は小難しい経済新聞や書籍なんかを好きこのんで読んでいると思われているようですが、必ずしもそうではないのです。優秀と言われる人ほど皆、魚の目を持つために努力を重ねているわけですから、若いうちは特にその努力を惜しんではいけないと思います」

さらに、”批判力”を身に付けることも重要だ。

「情報をただ聞くのではなく、本当にそうなのか?と批判する目を持つことで真の理解につながっていくものです。”3つの目”と批判力で社会を見渡す力を付けることが、ビジネスマンとして成功する鍵となるのではないでしょうか」

株式会社ヒト・コミュニケーションズ

1998年2月23日設立。資本金73,781万円。売上高203億(13年8月期)。営業支援を請け負う代行業(アウトソーシング)事業者。家電・モバイル・光回線から観光・ファッション・アパレル等まで対応できる事業領域は広い。9,000名を超える優秀なスタッフと全国31拠点の拠点網を活かした「成果追求型アウトソーサー」として独自の地位を築いている。

 

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