[フレアス]2025年の危機を打開する! 超高齢社会を支える在宅医療

2014.3.10

社会

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訪問マッサージや訪問看護などの医療サービスを提供する株式会社フレアス。創業から14年で全国38事業所、76拠点を構えるまでに成長した同社の原動力と今後の展望を代表取締役社長の澤登氏に聞いた。

株式会社フレアス 代表取締役社長

澤登 拓 さわのぼり たく

1969年生まれ。山梨県出身。1991年から北京中医薬大学にて東洋医学を学ぶ。帰国後は専門学校に入学し、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格を取得。2000年に在宅マッサージ事業「ふれあい在宅マッサージ」を起ち上げ、2011年には「株式会社フレアス」に社名を変更。全国各地に事業所を展開し、在宅医療を提供している。

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東洋医学の現状を憂い、在宅マッサージをスタート

学生時代、中国への留学経験がある澤登社長。そこで東洋医学の魅力を体感し、鍼灸マッサージ師を目指すことになった。しかし、学ぶにつれて日本の鍼灸(しんきゅう)マッサージ師が置かれている現状にショックを受けたという。

「中国では病院内に、あん摩マッサージ科、鍼灸科があり、皆誇りを持って働いていました。一方、日本では社会的評価が非常に低く、雇われて働くとなると収入も低い。それなら、個人でやった方がプライドを持って仕事ができると思い、仲間数人と始めたのが在宅マッサージでした」

こうして2000年に山梨県の自宅兼事務所にて、前身である「有限会社ふれあい在宅マッサージ」を設立。この年、介護保険制度が施行され、介護というマーケットが一気に開けたタイミングでもあった。

「在宅マッサージがほとんどなかった時代です。需要も高く、2年後には福岡、3年後には沖縄と順調に事業所を増やしていきました」

患者さんからの言葉で全国展開を決意

転機となったのは2006年に出店した富山事業所での出来事だった。

「ある高齢者の方から『私がマッサージを受けて、本当によく眠れた。寝たきりだったウチのじいちゃんにも受けさせてあげたかった。もっと早くこのサービスを知っていればよかったね』と仰っていただいたんです。その言葉を受けて、このサービスを求めている人は全国各地にいる、早く彼らにサービスを届けられる環境を作らないといけない、と心を入れ直しました」

これを機に全国展開へと大きく舵を切る。ただし、事業を加速させるには人材が不足していた。そこで澤登社長は本部を山梨から横浜に移し、全国展開への基盤を作った。

「当時、社員数は約50名。移転先は横浜ランドマークタワーです。従業員からは『移転するくらいなら私たちの給料を上げてくれ』と猛反発を食らいましたね」

それでも、澤登社長の信念は揺るがなかった。結果、この移転が功を奏し、全国各地から人材の応募が殺到。2008年には全国20箇所に事業所を構えるまでになった。

フレアス
マッサージをするフレアス代表取締役社長・澤登拓氏

在宅マッサージから総合的な医療を担う組織へ

2011年には社名を「株式会社フレアス」に変更。その背景には、超高齢社会を間近に控えた日本の現状がある。

「団塊の世代が75歳を迎える2025年には、医療ニーズが高い高齢者は2,000万人を超えます。そうなると、病院のベッド数は足りず、2020年にも30万人の『看取り難民』が出てしまうのです」

こうした状況を受け、それまでの在宅マッサージを中心とした事業モデルから、看護師や歯科サポート、医療サポートまでを行う総合的な医療を提供する会社へとシフトしている。

「人口構造が変わり高齢者が多くなると、医療モデルはケガや病気に対処する積極的医療から、慢性疾患を抑えるための『生活モデルの医療』に変化していきます。今がまさにその転換期なのですが、在宅医療を行えるだけのインフラ整備が追いついていません。私たちがその担い手となり、”目に見えない病院を在宅の現場に作っていく”ことがミッションなのです」

自分らしい暮らしを実現するための受け皿に

現在、国でも住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の実現を急いでいる。しかし課題は多い。

「在宅介護の分野は制度作りが進んでいる一方、医療はこれからです。加えて、医療と介護と地域住民という本来連携すべき情報が分断されてしまっているのが現状です。地域包括ケアという概念のもと、介護と医療の両輪がうまく回る仕組み作りが求められています」

高齢化は地方よりも都市部の方がより深刻だと指摘する。

「地方では医療資源不足が問題になっています。一方、都市部は豊富な医療資源があるものの、高齢化のスピードが早くて追いついていません。団塊の世代が都市部に出稼ぎにきてそのまま老いていくと、それを受け入れる施設や病院がないんです」

フレアスは、現在全国に38事業所76拠点を構える。今後もより細やかなサービスを提供すべく、事業所開設を進めるという。

日本中どこでもサービスが受けられる世の中へ

来るべき2025年の高齢化社会。問題となってくるのが人材不足だ。介護・医療含めて200万人が足りないと言われている。澤登社長はこれに対しても早急な対策を講じている。

「1つ目は、待遇改善です。私たちの理念のひとつに『社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する』という項目があります。そのためには、利益を追求する姿勢も欠かせません。医療の倫理と相反するところではありますが、その難しいバランスにチャレンジしていかない限り、日本の医療は成り立たないと考えています。2つ目は、看護師の免許を有している主婦の方など、眠っている労働力を呼び起こすこと。そして、3つ目は外国人労働者です。彼らを活用していくことで、来たるべき高齢化社会に備えていきたいと考えています」

澤登社長が目指しているのは、誰でも受けたい時に在宅医療のサービスが受けられる世の中だ。

「私たちのサービスを求める人がいる限り、とことんまでやろうと思います。まずは、2025年まで全力で走り続けます」

株式会社フレアス

高齢者を対象にした訪問マッサージや訪問看護、訪問歯科サポート、医療サポートなど、総合的な在宅医療サービスを提供している株式会社フレアス。会社理念は「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」。現在、札幌から沖縄まで38事業所76拠点(2014年2月現在)を構える。

 

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