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“誤報”と言われても仕方がない 朝日新聞による北朝鮮の金正恩委員長の訪中報道

2018.04.16

社会

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現在、外交、公安、さらにはマスコミ関係者の間で、朝日新聞がかつて報じたある記事が嘲笑の的になっている。それは、北朝鮮の金正恩委員長の訪中に関するもので、“誤報”のレッテルが貼られても仕方がないような記事なのだ。

朝日新聞の世界的なスクープ?

3月26日、金委員長が電撃的に中国を訪問し、北京で習近平国家主席との会談に臨んだのはご存じの通りである。北朝鮮メディアの「朝鮮中央通信」によると、金委員長はそのときの食事会での席上、次のように発言したという。

〈親愛なる中国の同志、私は初めて中国に訪問しました。私の初の外遊先が、中国の首都になったことはあまりに当然のことであり、朝中親善を受け継ぎ、命のように大切に守らねばならないことは、私の崇高な義務でもあります〉「朝鮮中央通信」

繰り返すまでもなく、金委員長が述べているのは、“初めての訪中”ということである。

ところが、遡ること9年前の2009年6月16日。朝日新聞は、〈「後継」正雲(※当時の表記)氏 北朝鮮総書記の名代、中国の胡主席らと会談〉と見出しを打ち、〈正雲氏が胡錦涛国家主席らと初めて会談、後継者に内定したことが直接伝えられた〉などと朝刊1面トップで大々的に報じた。

さらに、その2日後の18日にも、金正恩氏の異母兄である金正男氏が胡主席と面識があったため、紹介者として列席したといった記事を掲載したのである。この2つの記事は、中国総局の峯村健司記者によって書かれ、当時の船橋洋一朝日新聞主筆は、“世界的なスクープ”だと大絶賛していた。

中国側の否定と報道の自己矛盾

しかし、報道後すぐに、あちこちから“誤報”ではないかと指摘する声が上がったのである。当時の北京特派員によると、

「北朝鮮が、2度目の核実験に踏み切ってから3週間しか経っていない時期でもあったため、たとえ金正日の“名代”であっても、中国側が受け入れるはずがないというのが大方の見方でした。さらに、当の中国外務省も“事実でない”“007の小説を読んでいるようだ”と、皮肉も交えて完全否定する有り様だったのです」

そして、なにより朝日新聞自らが、のちの金正男暗殺事件における一連の報道のなかで、〈正男氏と正恩氏は別々の場所で育てられ、面識もなかった〉と、“世界的なスクープ”と矛盾する記事を掲載した。結局、金委員長は09年のときに訪中した事実はなかったようなのだ。

にもかかわらず、峯村記者はその後、優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られる「ボーン・上田賞」を受賞。おまけに、中国総局からアメリカ総局に栄転している。

今回、金委員長その人の発言によって、朝日の“誤報”問題が、あらためてクローズアップされた。朝日は、記事を撤回する素振りを見せていないが、慰安婦問題と同様、世論が沸騰するまでダンマリを決め込むつもりか。

政経電論せいけいでんろん

「政経電論」の編集部です。佐藤尊徳(そんとく)編集長の下、若い世代に向けて政治・経済・社会問題を発信しています。イノベーションや働き方改革、北欧型の社会保障、国防、原発、クジラ等に注目中。

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