RIZAP×自治体の“若返り”プロジェクト「コミットできなければ報酬は受け取りません!」

2018.07.27

社会

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RIZAPと聞くとボディメイクを思い浮かべる人は多いだろう。しかし近年、RIZAPがヘルスケアの分野にも進出しているということはあまり知られていない。「1,000万人健康宣言」というコンセプトのもと、地方自治体と組み地域の健康増進にコミットする自治体向けプログラムを既に展開しているのだ。自治体地域が抱える課題や日本の健康問題を解決するために、RIZAPが見据えていることとは。プロジェクト担当の松崎主税氏に話を聞いた。

RIZAP株式会社 ヘルスケア事業推進ユニット ユニット長

松崎主税 まつざきちから

米国大学で筋運動学を学び、都内のスポーツクラブで著名人を指導。その後、病院でトレーニングを通して疾病・介護予防を地域住民に行なう。
現在RIZAPで海外と医療の分野で活躍中。

RIZAPが地方自治体と組んでヘルスケア分野に進出

少子高齢化に伴ない、増え続ける社会保障費の削減はもはや日本全体の課題となっている。特に高齢者が多い地方の自治体では、医療費や介護費が財政に重くのしかかっているのが現状だ。

そんななか、地域住民の健康寿命延伸のために、自治体と組んで健康増進プログラムを提供しているのが、ボディメイクでおなじみのRIZAPである。長野県伊那市と連携した健康増進プログラムでは、参加者の約9割が体力年齢の若返りに成功し、平均値も36.89歳の若返りと驚異的な成果をあげた。

「今回はシニア向けのプログラムでしたが、根本的な考え方はボディメイクと同じです。筋肉をしっかりと動かして、代謝を上げる。この考え方は全く変わりません」

そう語るのは、RIZAPで健康増進プログラムを統括する、医療・法人連携ユニット所属の松崎主税氏。

「通常のボディメイクと同じとはいえ、対象がシニア層という視点からプログラム作成で重視したポイントはあります。それは家の中でできるということ、そして安全かつ再現性のあるトレーニングであるということです。今回のプログラムが終了しても継続していただくことが最終的な目的なので、器具などは一切使わずに家の中で手軽に取り組めるようなプログラムを作りました」

<プログラム内容>

・脂肪燃焼効果の高いRIZAP式トレーニング

・実施期間3カ月間(最終測定は4カ月後に実施)

・週1回、60~90分の健康講座、トレーニングの実施(全4回~)

・定期的な進捗管理(運動と食事の報告、フィードバック)

 

<評価項目>

・体内の変化/血液データの分析
・メンタルの変化/ハピネス・ライフ・チェックシートによる幸福度変化
・身体能力の変化/RIZAP体力年齢推定式による体力年齢の算出
・体力測定
・体組成計測定

 

※プログラム参加前後のデータを比較して評価

しかし、トレーニングの内容自体はそこまで奇をてらったものではない。松崎氏曰く、自治体が事業として取り組んできたスタイルを否定するものを作る必要は一切ないのだという。

「これまで自治体が取り組んできた基盤があったからこそ、日本の平均寿命はこれだけ伸び、医療費も現在の費用で抑えられていたのです」

医療の現場に身を置いていたトレーニングの専門家という視点からも、介護予防をはじめとした自治体のプログラムは非常に有益であったのだ。

「自治体が作り上げてきた土台をきちんと生かして発展させる。これこそがRIZAPが参入していくべきポイントだと思っています。地域住民の特性に合ったプログラムの改善や、今までプログラムに参加しなかった人たちをRIZAPの名前を使って呼ぶ、そういったことを自治体としっかりと手を結び一緒にやらせていただくことで、多くの方が参加しやすい環境を作っていきたいと考えています」

長野県伊那市でのプログラム実施の様子。数値の変化を見える化し、モチベーションの維持につなげている。
静岡県牧之原市での実施の様子。身体を動かすことで、参加者は自然と笑顔になることも多いとか。

 

コミットできなければ報酬は受け取りません!

今回の長野県伊那市のプロジェクトでは、これまで自治体が他社と取り組んできたビジネスとは大きく異なる点がある。それが成果報酬型の導入だ。3カ月というプログラム期間中、参加者の体力年齢がどれだけ改善されたのか、また、プログラム開催前後と比較して医療費がどれだけ削減されたのか、その結果に応じて報酬が得られるというビジネスモデルなのである。

「RIZAPのボディメイクはご存知の通り成果報酬型。つまり、結果を出さなければ報酬はもらえないというビジネスモデルです。この成果報酬型のモデルを自治体にも応用できないかと考えました。最近ではこういった自治体の取り組みに対し、国の方針としても、成果に対してしっかりと評価するという考えに変わってきています。また、自治体側の視点で見ると、限られた予算の中で税金を使っているため、結果に応じた報酬の支払いというのは地域住民にも説明がしやすく、メリットも大きいと考えています」

ただ、成果報酬型のモデルを導入することは大きな賭けでもあった。これまでの自治体の取り組みでは、参加しても脱落せずに最後までプログラムに残る人が少ない、という問題点があった。そのため、全体のパフォーマンスを考えると、お世辞にも決して良いとはいえなかったのである。

しかし、RIZAPはこの問題点も払拭した。今回実施した長野県伊那市のプログラムでは、44人のうち39人がプログラム最終日まで残り、その中の35人の体力年齢が改善された。しかも、驚くべきことに平均して36歳も体力年齢が下がったのだ。成果報酬型モデルとしては大成功といえる結果となった。

「これまで自治体が行ってきたプログラムには参加者が自身の変化を把握するための明確な指標がありませんでした。だからモチベーションの維持という面で非常に難しい部分があったのだと思います。今回私たちが提供したプログラムでは初回と最終回に体力年齢を測り、参加者がどれくらい若返ったのか自分で比較できるようになっています。つまり、変化を数値化して目に見える形にしているのです。これがモチベーションの維持に大きくつながり、結果として出たのだと思います」

またそのほかにもプログラム参加の際にはできるだけおしゃれな格好をしてくるように参加者に伝え、気持ちから若返ってもらえるような工夫を施し、「若返ったら何をしたいか」という目標設定をプログラム内に組み込み、参加者がモチベーションを維持しやすい環境を作り上げていった。

「介護予防のためのプログラムと伝えても、介護が必要ではない参加者には絶対に響きません。当事者意識がまったく持てないのです。だから私たちは介護予防ではなく『若返り』という言葉を使うようにしています。『若返り』であれば、皆さん自分のこととして考えることができますから。トレーニングの内容とは関係ないように見えますが、そういったちょっとした工夫が参加者のモチベーションに大きく影響するのです」

健康増進プログラムの参加者にアンケート調査を行ったところ、満足度はなんと92.3%と非常に高かった。また、食事や運動への意識も94.8%が改善したと回答し、今後自分で継続しようと思うかという問いには97.4%もの参加者が「継続する」と答えるなど、ほとんどの参加者の健康管理に対する意識が大きく変わる結果となった。

「お薬にしますか?RIZAPにしますか?」

長野県伊那市をはじめ、静岡県牧之原市、長野県川上村と、これまで3つの自治体と組み、健康増進プログラムを行ったRIZAP。松崎氏に今後のRIZAPが目指しているヘルスケアについて、展望を聞くと「日本人の予防に対する意識を変えたい」という答えが返ってきた。

「本来であれば介護予防は20〜30代の段階で意識して始めるべきことなんです。ただ現実を見ると若い方はそんなことを考える余裕はありません。現状は予防に対してお金や時間を使う、そういった環境は全く根づいていないといえます。だから、私たちはその意識を変えていきたい。自分の健康に対して投資をする、病気になる前に改善する。当たり前のように予防について考えることができる環境を作りたいんです」

ヘルスケアの領域をさらに追及すべく、RIZAPは東京大学と組み、医療分野にも大きく踏み込んだ研究を行っている。

東大医学部附属病院内の共同研究室。壁にはスタイリッシュなRIZAPのロゴが。

「東京大学との研究では、がん患者が手術前にRIZAPのトレーニングを受けることで筋力や体力が上がり、術後の回復が早くなる。そういった結果を期待した研究を行っています。RIZAPはどちらかというと医療とは関係のない分野だと思われている方は多いと思います。しかし、病気の軸を病前、病中、病後と3つに分けたとき、病前と病後の部分で私たちがかかわることができるのではないかと考えています。病中の医療分野に大きく介入するというわけではなく、病前・病後の部分をしっかりとRIZAPがサポートし、脇を固めることで医療の質が上がっていくことを望んでいます」

そして、最後に松崎氏はこう続けた。

「例えば、病院に行った際にお医者様に『お薬にしますか、それともRIZAPにしますか』と聞かれるくらい、RIZAPがあたり前の存在になっている。そんな環境を作っていくことができれば嬉しいですね」

病院でもらう処方箋に「RIZAP」と書かれる日は、そう遠くないのかもしれない。

 

 

>RIZAP 公式ホームページ

>RIZAP「自治体向けプログラム」