劇団四季の最新作は戦後のパリが舞台「パリのアメリカ人」製作発表会
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劇団四季の最新作は戦後のパリが舞台「パリのアメリカ人」製作発表会

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劇団四季ミュージカル最新作「パリのアメリカ人」製作発表会が9月3日、東京港区のホテルオークラで開催された。本作は2015年トニー賞4冠に輝いたブロードウェーミュージカルで、初の日本公演となる。

音楽とダンスが融合した上質な大人のミュージカル 

「ライオンキング」や「アラジン」、「キャッツ」など、これまで多くの名作を舞台化してきた劇団四季。壮大で高揚感のあるストーリーや演出が、幅広い年齢層に支持されている。

今回発表された最新作のタイトルは「パリのアメリカ人」。第2次世界大戦直後のパリを舞台に繰り広げられる、大人向けの上質なラブロマンスだ。

本作は、“アメリカ音楽の魂”と讃えられてきたアイラ・ガーシュウィンとリオノール・ガーシュウィン兄弟の代表作で、1952年にアカデミー賞を受賞した映画『巴里のアメリカ人』をベースにしたミュージカル作品。2014年にパリで初めて舞台化され、ブロードウェーやロンドンで上演されてきた。

Robert Fairchild and Leanne Cope Photo by Tristram Kenton
Original London Company Photo by Johan Persson

演出・振付を担当したのはクリストファー・ウィールドン氏。ソリストとしてニューヨーク・シティ・バレエ団に入団し、その後、バレエ作品の振付をしてきた。2014年の「パリのアメリカ人」舞台化の際、初めてミュージカルの演出・振付を担当し、2015年にブロードウェーパレス劇場へ進出、同年トニー賞で演出賞のノミネートや振付賞を受賞している。

「戦争を実際に体験した人たちにも、夢やロマンスがありました。その喜びや輝きにフォーカスし、音楽とダンスで豊かに感情を表現できればと考えました。人生を謳歌できることの素晴らしさや、愛の大切さを訴えていければ幸いです。

また、私たちが作り上げるパリには、さまざまな“色”が散りばめてあります。荒廃した市街地や、富裕層のきらびやかなパリの街並みで踊る表情豊かなダンスに、照明や音響など舞台装置の効果も相まって、人物だけでなく、パリの街そのものが歌い踊っているように見えればうれしいです。日本公演を決めてくれた劇団四季に、感謝しています」(クリストファー・ウィールドン氏)

左:クリストファー・ウィールドン氏  右:スチュアート・オーケン氏

また、オリジナルプロデューサー、スチュアート・オーケン氏や、アイラ&リオノール・ガーシュウィン信託のマイケル・ストランスキー氏が登壇し、作品の魅力を語ったほか、出演キャスト候補の発表に加えて、予告PVの上映やキャスト候補による劇中の一部ナンバーを披露。主人公のジェリーを演じる松島勇気氏が、メンバーを代表して抱負を語った。

「初めて舞台を観たのは、2015年のブロードウェイ公演でした。美しいダンスや、素晴らしいガーシュウィンの音楽、そして戦後の時代においても夢を追い続け、懸命に諦めずに生きていく登場人物に心をうたれました。俳優としてこの作品に携わることができるのは、大変光栄なことです。初日に向けて、スタッフ一同、全身全霊で稽古に努めて参ります。開幕を楽しみにしていてください」(松島勇気氏)

出演キャスト候補は以下のとおり。

出演メインキャスト候補

主人公:ジェリー・マリガン/酒井 大(さかい だい) 、松島 勇気(まつしま ゆうき)

 

ヒロイン:リズ・ダッサン/石橋 杏実(いしばし きょうみ)、 近藤 合歓(こんどう ねむ)

 

アダム・ホックバーグ/斎藤 洋一郎(さいとう よういちろう)

 

アンリ・ボーレル/小林 唯(こばやし ゆい)

 

マイロ・ダヴェンポート/岡村 美南(おかむら みなみ)

「初めて舞台を観たのは、2015年のブロードウェイ公演でした。美しいダンスや、素晴らしいガーシュウィンの音楽、そして戦後の時代においても夢を追い続け、懸命に諦めずに生きていく登場人物に心をうたれました。俳優としてこの作品に携わることができるのは、大変光栄なことです。初日に向けて、スタッフ一同、全身全霊で稽古に努めて参ります。開幕を楽しみにしていてください」(松島勇気氏)

「パリのアメリカ人」は劇団四季にとっての挑戦

劇団四季の代表取締役社長・吉田智誉樹氏は、「パリのアメリカ人」の公演が劇団の成長につながると確信したという。

「初めて作品を観たときに、とても上質な大人向けの作品だと思いました。特に、小粋なガーシュウィンの名曲に見事に融合したイマジネーションあふれるダンスに、うっとりした記憶があります。言葉以上に雄弁に語るダンスは、高度なバレエテクニックを必要とした非常に難易度の高いものです。ですが、これに挑戦することは、劇団四季にとって大きなチャレンジとなり、表現力の幅を広げることができると考えています。

ダンスの素晴らしさもさることながら、深みのある物語も魅力です。第2次世界大戦直後のパリを舞台に、登場人物の描写も丁寧に、色濃く深掘りされています。特にヒロインのリズですが、彼女の気持ちは激しく揺れ動くわけです。求められている愛に応えるべきか、心の声に従い真実の愛に身を委ねるべきか……。その心の動きが非常にドラマチックに描かれています。

装置や衣装デザインは「アイーダ」「リトルマーメイド」「アラジン」などを担当しているボブ・クローリーさん。スタイリッシュなダンスと重なり合って、とてもおしゃれで洗練されたビジュアルにまとまっています。音楽、ダンス、美術、舞台装置、すべてが醸し出す、贅沢で上品なひとときを感じていただければ幸いです」(吉田智誉樹氏)

劇団四季ミュージカル『パリのアメリカ人』

 

◇公演期間

【東急シアターオーブ】2019年1月20日(日)~3月8日(金)

【KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>】3月19日(火)~8月11日(日・祝)

 

◇「パリのアメリカ人」あらすじ

主人公はアメリカの退役軍人ジェリー。第二次世界大戦後の混乱が収まりきらない街中で、一人の女性リズに出会い恋に落ちてしまう。後日、友人のアダムの誘いで訪れたバレエスタジオでリズと偶然再会。オーディションでの踊りを見たアダムもまた、彼女に恋をしてしまう。しかし、リズは既にジェリーの友人である、アンリと婚約していた。

一人の女性を同時に愛してしまった男たちは悩み、リズもまた、ナチス占領下のドイツでアンリの両親に匿ってもらった恩義を感じている一方で、自由な世界を教えてくれるジェリーに惹かれ、揺れ動く。

新しい時代の息吹に輝くパリの街で、複雑に絡み合う若者たちの運命。悩み、衝突しながらも、ひたむきに夢を掴もうとする彼らの恋と友情の行方は――。

 

劇団四季 公式ホームページ