いま、自主制作映画を観る!「青山シアター」に『カメラを止めるな!』監督作品登場

2018.9.8

社会

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いま、自主制作映画を観る!「青山シアター」に『カメラを止めるな!』監督作品登場

上田慎一郎監督の映画『カメラを止めるな!』が話題だ。製作費300万円の低予算で制作され、6月の公開以降に口コミで広がった結果、全国200館以上で拡大上映するに至っている(8月現在、予定含む)。もともと専門学校のワークショップで作られた作品がここまでヒットするのは異例中の異例。「夢がある」と自主制作映画自体にも注目が集まっている。 自主制作映画を積極的に配信する「青山シアター」(運営:映画配給会社ギャガ)では、上田監督の過去作品をはじめ、40回目を迎えた「ぴあフィルムフェスティバル」の「PFFアワード2018」入選作品などを配信。ソフト化や、ほかで配信されていない作品も多数あり、貴重な自主制作映画体験をすることができる。

通好みのインディペンデント映画を配信「青山シアター」

近年、続く話題作が後押しし、映画館に足を運ぶ人が増えている。年間公開本数 も長年500~800本を推移していたが、2013年以降は1000本を超え、その数を伸ばしつつある。しかし、市場の7割の利益を生み出しているのは、全体のわずか5%の作品 だ(「2017年(平成29年)全国映画概況」一般社団法人 日本映画製作者連盟)。大々的に広告宣伝を打ち出せる大手映画会社が手掛けた作品がその主たるもので、この陰には無数の“インディペンデント(自主制作)映画”が存在している。

皆さんは自主制作映画にどんなイメージをお持ちだろうか? 商業目的ではない、無名の監督と俳優の熱でつくり上げる自主制作映画の世界。それはどこか私たちの日常のすぐ隣にいるような奇妙な距離の近さがあり、観る者を不思議な一体感で包み込んでくる。

これら数々の自主制作映画を優れた目利きで厳選し、オンラインにて配信しているのが、映画配給会社ギャガが運営する「青山シアター」 だ。「青山シアター」 は、他動画配信サイトにはない通好みの作品を豊富に取り揃えているのが特徴で、『IF!』 『PFF』 『TIFF:日本映画スプラッシュ』 『ndjc』 『MOOSIC LAB』 『映画美学校』 といったコンテンツで構成されている。

「青山シアター」の自主制作映画系コンテンツ

»PFF

1977年にスタートし、今年40回目を迎える映画祭「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)」とのコラボコンテンツ。PFFは「映画の新しい才能の発見と育成」をテーマにした映画祭で、自主制作映画の登竜門といわれている。

 

今年は、PFFが主催する日本最大級の自主制作映画コンペティション「PFFアワード2018」の入選作品を映画祭開催初日(9月8日)から青山シアターでも鑑賞できる。

 

作品は全18作。CGなし・早回しなし・ワイヤーなしの命がけアクションムービー『一文字拳 序章 -最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い-』 、突然家出をし異国で自分の居場所を見つけた母と残された家族の物語『貴美子のまち』 、中国北西部にある農村で暮らす子どもたちの姿を追ったドキュメンタリー『山河の子』 、小さな田舎町で起きた少女失踪事件を描いたサスペンス『シアノス』 などが配信される。

»TIFF:日本映画スプラッシュ

「東京国際映画祭(TIFF)」とは、日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭。同映画祭の国内自主制作映画を対象とした部門「日本映画スプラッシュ」と、その前身である「日本映画・ある視点」を含めた2011年度からの受賞作品を配信。

»ndjc

文化庁委託事業「若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)」とは、日本映画界の次世代を担う映画監督の発掘・育成を目指した取り組み。本格的な映像制作技術と作家性を磨くための知識を学ぶワークショップや実習を行い、そこで制作された作品を配信している。

»MOOSIC LAB

多くの有名ミュージシャンや映画監督、俳優などを輩出している「MOOSIC LAB(ムージック・ラボ)」。ここではミュージシャンと映画監督によって制作された映画を紹介。現在は、2012~2017年の作品を配信中。

»映画美学校

「映画美学校」とは、1997年に設立された映画人教育機関。同機関のフィクション・コース(映画監督育成コース)で制作された約180作品の中から選り抜きの18作品を配信。大九明子監督(『勝手にふるえてろ』)、横浜聡子監督(『ウルトラミラクルラブストーリー』)、内藤瑛亮監督(『先生を流産させる会』)らが在籍中に制作したレアな作品が揃う。

大ヒット『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督作品も配信中

今、全国の映画館をにぎわせている自主制作映画『カメラを止めるな!』は、ゾンビ映画の撮影隊を描いた作品で、37分間ワンカットのゾンビサバイバルシーンから始まる。しかし、本当の見どころはそこから先だ。

緻密に仕組まれたからくりが解かれるごとに、劇場内は大きな笑いにあふれ、そして最後はちょっとした達成感を覚えることだろう。この話題作に本広克行監督や犬童一心監督、深田晃司監督といった名だたる映画人をはじめ、タレントの水道橋博士さんや、舞台の演出も手がける女優の水野美紀さんら、各界の有名人 もこぞって喝采を送っている。

同作は、映画監督や俳優を養成する専門学校「ENBUゼミナール」の劇場公開映画製作・俳優ワークショップ「シネマ・プロジェクト」にて制作された作品で、2017年11月に東京で行われた6日間限定の先行上映で話題となり、6月23日一般公開の翌月には全国40館以上での上映が決定(8月現在は予定含めて200館超に拡大) 。公開と同時に各劇場とも立ち見や補助席が用意されるほどの大盛況ぶりで、興行収入10億円を突破するのではないかという、映画史上に残る前代未聞の記録を更新中だ(8月現在)。

ちなみに、「青山シアター」「ENBUゼミナール」とコラボし、「シネマ・プロジェクト」で制作された作品のほか、ENBUゼミの卒業制作として制作された白石晃士監督の超問題作『殺人ワークショップ』などを公開している。

『カメラを止めるな!』の監督を務めた上田慎一郎さんは、中学時代から自主映画を制作し、高校時代では弱小演劇部を地区大会で上位に入賞するまでに立て直したという。高校卒業後も独学で映画を学び、20歳のとき、映画監督を目指して上京。これまでに8本の映画を手掛け、国内外の映画祭で20のグランプリを含む46冠を獲得した、期待の人物だ。

『カメラを止めるな!』 上田慎一郎監督

「青山シアター」では、『カメラを止めるな!』の大ヒットを記念し、上田監督の過去作品を配信。上田監督の真骨頂ともいえる“想定外”な展開にくぎづけになるウエディング・ワンシチュエーション・コメディ『テイク8』(無料配信)をはじめ、『ナポリタン』『彼女の告白ランキング』『恋する小説家』の全4作を楽しめる。

自主制作映画には大作映画のような派手さや豪快さはないが、ささやかな日々の中に隠れている幸福や、変わらぬ日常という名の奇跡に気づかせてくれる魔法がある。それにひとたび掛かると、劇場を出た外の風景が少し違って見えるかもしれない。この秋、あなた好みの自主制作映画であなたのドラマを見つけてみてはいかがだろうか。