1985年に誕生した「大戦略」シリーズはいわば“現代版将棋”だ。「ヘックス」と称する無数の六角形のマス目からなる広大なマップ(戦場)を舞台に、プレーヤーが編成・指揮する軍隊はPCの操る軍隊と激突、相手の首都占領を目指して戦うシミュレーション・ゲーム(SLG)だ。本作品は前作「大戦略パーフェクト3.0」がリリースされた2008年から10年、満を持しての発売となる。
登場する兵器は、実際に存在する世界各国の戦車、戦闘機、軍艦などで、実にその種類は1400種以上と圧巻。想像上の武器は一切登場しないというリアリズムがウリだ。
自衛隊が導入を始めたF-35Aステルス戦闘機やオスプレイ垂直離着陸輸送機など、最新兵器を思う存分繰り出して戦うのもいいが、同ゲームで勝利のカギとなるのが、一見地味とも思える「兵站(=ロジスティクス)」。
弾薬や燃料が尽きれば、いかに優秀な戦車や戦闘機、軍艦でも単なる“鉄クズ”に過ぎず、その後の進撃は不可能。補給拠点となる都市や基地、港湾、空港などを計画的に攻略、その間に補給路を構築して前線を支えながら作戦を続けて行くのが王道だ。ただし敵もさるもの、この補給線を執拗に攻撃して来るのでご注意を。
実際の戦史を紐解くまでもなく、先の大戦ではこの「兵站」を軽視し戦線拡大だけに盲進した日本軍は物量に秀でた連合軍に大敗している。本ゲームは戦争のリアリズムと厳しさを改めて感じさせる逸品だ。