ユーグレナが日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントを構築

2018.11.5

技術・科学

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ユーグレナが日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントを構築

10月31日、「ミドリムシ」でお馴染みのユーグレナ(本社・港区。出雲 充社長)は、横浜市鶴見区の京浜臨海部にバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを完成、日本初の快挙を成し遂げた。同プロジェクトには横浜市や千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、ANAホールディングス、ひろしま自動車産学官連携推進会議が協力、「GREEN OIL JAPAN」を掲げ、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献、日本の“バイオ燃料先進国”入りに挑む。

“純度100%”でもOK、2025年には100円/ℓを目指す

同プラントは2019年から本格稼働の予定で年産25kl。現在の日本のバイオ燃料年間生産量83万klと比べると微々たるものだが、「2025年には2000倍の25万kl、2030年には100klを目指す」と出雲氏。原料はミドリムシ(ユーグレナ)が生成する油脂分と廃食油で、いずれもすべて国産調達なのがポイント。

また、製造されるジェット燃料は工業製品の国際基準、ASTM規格に準拠、2019年春に正式に認証を取得する見込みで、旅客機にそのまま給油してもまったく問題なし、という“お墨付き”を得ることを意味する。

ディーゼル燃料に関しても、現在、バイオディーゼル燃料を自動車燃料として使用する場合、原油精製による在来型のディーゼル油に最大5%しか混入することが許されていなかったが、ユーグレナ産のバイオディーゼル燃料は酸素をまったく含まないなど厳しい成分基準もクリアし、“純度100%”でも問題ないクオリティに仕上げている。

「クリーンなバイオジェット燃料で飛ぶ飛行機はすでに世界で何千機、15万回以上も飛んでおり、そのほとんどが欧米ですが、日本は1機も飛んでいません。私たちは2020年に初飛行を目指し、ゼロを1にします」と出雲氏の鼻息は荒い。

さて、気になるのが価格。現在はまだ実証試験であるため、単純計算だと1万円/ℓだが、商業プラントが稼働予定の2025年には100円/ℓを目指す。「将来の原油相場は気になりますが、概ね70ドル/バレルであれば充分競争力があります」と出雲氏。緑のネクタイがトレードマークの“風雲児”が、エネルギー革命に向かっていよいよ大きな一歩を踏み出した。