維新vs維新以外 「大阪都構想」をめぐる大阪ダブル選の見どころ

2019.03.20

政治

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大阪府知事と大阪市長を決める“大阪ダブル選”が4月7日に投開票される。松井一郎知事が市長選に、吉村洋文市長が知事選に出馬するという異例の展開で、いずれも維新と自民系候補の一騎打ちになる見通し。本来秋に実施されるはずの選挙の前倒しは、「大阪都構想」をめぐる維新による戦略だが、大阪は6月にG20が予定され、2025年には万博の開催も決まっており、選挙の結果次第では行政に支障が出る可能性もある。選挙を仕掛けた維新の狙いと覚悟のほどは。

自民・公明・立民・共産・国民民主に連合大阪…“維新包囲網”

大阪府知事と大阪市長の任期は今年の11~12月までで、今年秋にダブル選が行われる予定だった。松井一郎(まつい いちろう)知事と吉村洋文(よしむら ひろふみ)市長が所属する大阪維新の会は当初、「大阪都構想」の実現を目指すためにダブル選と合わせて住民投票を行う計画だったが、“住民投票の阻止”を掲げる自民党などが反発。「当初は容認する姿勢を見せていた」(吉村市長)という公明党も態度を硬化させたため、民意の後押しを得るためダブル選の前倒しに踏み切ることとした。

維新に対抗する自民党は、府知事選に大阪出身で知名度の高いタレントの辰巳琢郎(たつみ たくろう)氏を擁立しようとし、党本部から実力者の二階俊博幹事長が乗り出したが、最終的に辰巳氏が固辞。次前の策として松井知事の下で副知事を務めた小西禎一(こにし ただかず)氏の擁立を決めた。市長選には元自民党大阪市議会議員で、前回選挙で吉村氏と市長の座を争った柳本顕(やなぎもと あきら)氏が出馬を表明した。

両氏には公明党に加えて立憲民主党、共産党、国民民主党なども支援に加わる方向。連合大阪(日本労働組合総連合会大阪府連合会)も両氏への推薦を決め、さながら“維新包囲網”といった様相だ。これまで何度となく行われてきた維新対反維新の一騎打ちとなるが、政策の異なる政党が手を組むことへの批判もある。

橋下徹元大阪府知事が残した知事&市長入れ替え戦法

知事と市長のポストを入れ替えるのは、選挙費用が膨らむことへの批判を避けるためだ。公職選挙法では現職が辞職して“出直し選”(任期途中に辞任し、それに伴う選挙に再び立候補すること)に挑む場合、辞任前の任期が引き継がれ、秋に再び選挙を行うこととなる。たびたび選挙を行えば「税金の無駄遣い」との批判を受ける可能性があるため、知事が市長選に、市長が知事選に挑むことで回避する。

産経新聞が有権者100人にアンケートを実施したところ、入れ替え選挙に臨むという決断を「大いに」「どちらかといえば」評価すると答えた人は計49%。「あまり」「まったく」評価しないの計32%を上回った。

税金の無駄を抑えるためとはいえ、ポストを入れ替えるのは異例。ただ、維新では過去に橋下徹府知事(当時)が任期を残して辞職し、市長選に立候補した経緯もある。

維新が狙い通りに知事、市長とも当選させた場合、「大阪都構想」の実現には後押しとなる。「民意」を盾に住民投票にこぎつけ、勢いそのまま可決させる可能性もある。しかし、知事と市長のどちらか一方でも欠ければ都構想は事実上、頓挫する。特に片方だけが欠けた場合は府と市の争いが激化し、行政の推進が滞る可能性もある。選挙で事態の打開を図るというのは橋下氏以来の“維新の伝統芸”だが、リスクも大きい。

6月にG20サミット、2025年に万博の開催が決まっているだけに、大阪ダブル選の行方には全国から熱い視線が集まりそうだ。