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[衆院2補選]自民与党、無党派層の不人気鮮明に 参院選で野党はまとまれるか

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衆院大阪12区と沖縄3区の補欠選挙が4月21日に投開票され、いずれも与党候補が敗れた。2012年の第2次安倍政権発足以来、与党が国政の補欠選挙で敗れるのは、不戦敗だった2016年の京都3区を除けば初めて。大阪は「都構想」、沖縄は「米軍基地問題」という特殊事情を抱える地域だが、ともに与党は無党派層からの支持が極端に少なく、夏の参院選への課題を残す結果となった。

大阪は地盤弱体化、沖縄3度目の「移設反対」

自民党の北川知克元環境副大臣の死去に伴う大阪12区補選には、自民党が北川氏の甥である北川晋平氏(32)を擁立。日本維新の会の新人藤田文武氏(38)、旧民主党政権で総務相を務めた無所属元職の樽床伸二氏(59)、共産党元職で今回は無所属で立候補し、立憲民主党国民民主党の支援を受ける宮本岳志氏との激戦となった。

結果は日本維新の会の藤田氏が初当選。自民の北川氏は約1万3000票の大差で敗れた。知名度が高く、公明党支持層の一部から支持された樽床氏や、“野党共闘候補”となった宮本氏も及ばなかった。投票率は47%。

維新候補の勝利は4月7日の“ダブル選挙”の勢いと見ることもできるが、与党の勢いの陰りと見る向きもある。共同通信の出口調査によると、自民党支持層のうち、自民党公認の北川氏に投票したのは53.5%。残りのうち23.1%が藤田氏、21.3%が樽床氏に投票し、公明党支持層の一部も樽床氏に流れたという。これまで盤石だった与党支持層をしっかり固めることができなかったことがわかる。

玉城デニー氏の沖縄県知事転出に伴う沖縄3区補選は、自民党が沖縄選出の元参院議員、島尻安伊子氏(54)を擁立。普天間基地の辺野古移設反対派の政党や団体で組織する「オール沖縄」が支援する無所属新人の屋良朝博氏(56)との一騎打ちとなり、屋良氏が約1万8000票差で制した。投票率は43.99%。

沖縄では辺野古移設への反対運動が広がっており、昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票に続いて3回連続で「移設反対」の民意を表した格好。安倍政権は引き続き移設工事を進める構えだが、沖縄県は今回の選挙結果を踏まえて改めて計画を見直すよう政府に求めるとみられる。両者の溝が一層、深まりそうだ。

与野党ともに結束が乱れている

今回の補選のポイントをまとめると3つに集約できる。「与党に対する無党派層の支持の少なさ」と「与党の結束の乱れ」、そして「野党の結束の乱れ」だ。

共同通信の出口調査によると「支持する政党はない」と答えた無党派層のうち、自民党候補に投票したのは大阪12区で13.6%、沖縄3区では23.8%にとどまった。与党からは「(敗因には)それぞれの地域事情があった」(公明党の斉藤鉄夫幹事長)との声が聞かれるが、それにしても13.6%、23.8%というのは極端に低い。地域事情とは別に、塚田一郎前国土交通副大臣や桜田義孝前五輪担当相の問題発言による辞任など“長期政権のおごり”とも取れるような政権の不祥事が相次いでいることが影響している可能性がある。

2補選では与党の結束の乱れも目立った。大阪12区で公明党は自民党候補を推薦したが、朝日新聞の出口調査では公明党支持層のうち、自民党候補に投票したのは65%。25%が樽床氏、8%が藤田氏に流れた。樽床氏が民主党時代に公明党の地方議員と良好な関係を築いていたり、ダブル選を制した大阪維新の会が、公明党が候補を出している衆院の小選挙区に対抗馬を擁立する可能性を示唆したりしていることなどから、支持層をまとめきれなかった。

沖縄3区でも公明党支持層の2割強が野党系候補に流れた。国政では与党として普天間基地の辺野古移設を推進する立場だが、沖縄の地方組織は移設反対を掲げているためだ。今回は地方組織でも自民党候補を支援する立場を明確に示したが、組織を固めることができなかった。

とはいえ、統一地方選と同じく補選でも野党は存在感を示すことができなかった。大阪12区では共産党元職の宮本氏があえて無所属で立候補し、共産党のみならず立憲民主や国民民主、自由党、社民党などがこぞって支援したが、宮本氏の無党派層からの支持は9.0%にとどまった。“共産党色”を拭い去ることができなかったこと、そして大阪維新の発足以来、旧民主系の勢力は大阪でかなり存在感を低下させたことが影響している。

沖縄3区では野党系候補が勝利したものの、既成政党の勝利というよりは、玉城知事や辺野古移設に反対する市民団体の勝利と言った方が正しい。野党共闘が成果を挙げたとはとても言いがたい。

野党がバラバラなら与党優位は変わらない

結果的に、夏の参院選に向けて与野党ともに課題が明らかになった。与党は閣僚辞任などで有権者が抱いた“政権のおごり”のイメージを払しょくすること、そして自民・公明両党の協力関係を修復することが急務。一方の野党は単なる数の野合ではなく、政策の一致点を見出して与党と政策で対抗すること、そしてそれを踏まえて参院選の「一人区」をはじめとする選挙区調整を急ぐことだ。

一人区(いちにんく)

定数が「1」の選挙区のこと。激戦区になることが多い。2016年の参院選では、民進、共産、社民、生活(現自由)の野党4党は32ある「一人区」のすべての候補を一本化し、11選挙区で与党に勝っている。

衆院2補選と同時に行われた統一地方選後半戦では、首長選、地方議員選ともに自民、公明の与党は安定した勢力を確保した。衆院補選では敗れたとはいえ、国政選挙で集票マシーンとなる首長や議員を多く抱える与党は、地力は大きく上回る。与党の勢いに限りがあるとしても、今のまま野党が小粒でバラバラなら無党派層の受け皿が無く、投票率が下がって与党が優位となるだけだ。

野党が盛り返すのは世代交代をしたさらに後だろう

そうなんだよね。国民は今の政権が絶対に良いと思っているわけじゃないと思う。でも他を見渡したときに選択肢も見当たらない。

この補選は与党候補が負けた、というよりも、維新とオール沖縄が勝った、ということで、野党が勝ったわけじゃない。他に託したいと思える政党が自民党以外にあればそこに流れるのを顕著に示した。沖縄と大阪の特別な事情もあるけど。

個人的には、“機を見るに敏”の公明党の動きが気に入らないけど、野党は本当に信頼されてないな。樽床さんが衆議院を辞してまで負け戦に臨むのも(1月の時点では勝てると思っていたのかもしれないが)よーわからんし。

与党に危機感が無いのも、野党共闘で負けたわけではないし、それぞれ特殊な事情によって負けた、ということだろう。ただ、与党にも長期政権の弊害は出ている。しかし、統一地方選の結果を見ればまだまだ野党が盛り返すのは世代交代をしたさらに後だろうな。