第6号の巻頭にご登場いただいた野田議員と小室社長。信念をしっかり持ったお二人ですが、学生から社会人になるときは揺らいだ時期もあったとか。彼女たちの就活エピソードを読んで、社会で働く気持ちを作ってほしい。

衆議院議員・野田聖子の場合「仕事のなかで自分を育てていけばいい」
私はちょうど就職氷河期でして、コネで内定をもらっていた企業が、ある日突然、内定取り消しという……。その後、秋から就職活動をしたから、もうほとんど行くところがなくて、帝国ホテルの若干名募集に引っかかったのがキャリアのスタート。
通算4年いたんですけど、社会人になって最初にした仕事が、客室、バスルーム、お風呂とトイレの掃除。それも素手! 学生時代にそんなことをしたことがなかった私は、それをしないと給料ってもらえないんだなと思いました。労働というのは楽しいものでも、自己実現でも何でもない、生きるためのもので、つらいものなんだと理解しました。それが今、国会議員になっていろいろあることないことたたかれたりしたけど、あのときの、トイレの便器に素手を突っ込むことを思えば、全然厳しくないというのが私の支えになってる。
私、政治の世界に入ったのも確たる志があって入ったわけじゃなくて、まあ皆さんに命令されて(笑)。そのとき、自分は政治家になって何をしようなんていう志も野望もなかったんだけど、それが結果、長続きしたのかなと。やっぱり自分である程度決めてしまって仕事を選ぶと、仕事ってそういうものじゃない!と思って嫌になってしまったり。そうではなくて、仕事のなかで自分を育てていけばいいんじゃないかなと思います。だから、カルチャーも心も頭もクナクナに柔軟にしておいて、どこの職場でも、人の縁とか仕事の縁でいろんな可能性があると思っていた方がいいんじゃないかなと。

企業経営者・小室淑恵の場合「大学に4年行こうが5年行こうが誰も気にしない」
私は大学3年まで専業主婦になろうと思っていましたが、猪口邦子さん(現・参議院議員)の講演を聞いて考えがガラっと変わりました。猪口さんは、将来、働いて子育てする女性が大半になると、仕事と子育てを両立させる人が欲しがる商品やサービスでないと売れなくなる。そういう商品を作れた企業だけが業績が上がると。だから、あなたたちはぜひ企業に入って結婚・出産して、こういう商品が良いっていうのを言ってあげなさいっていうことをおっしゃったんですよね。そのとき稲妻が走ったような感じで全身に鳥肌が立って。
それまでは、結婚・出産という自分のわがままで会社を休むような人が会社に入ることは迷惑なんだ、と思っていました。ですが、実は結婚・出産しながら働くことが、むしろ日本の企業を欧米の企業に負けないように救うきっかけになるっていうロジックを聞いたとき、初めて腑に落ちて。
ただ、私は大学3年まで本当にダメ学生を尽くしていたので半ば手遅れで……。でも人生を変えたいと思って、とにかく1年休学してアメリカに行こうと決めました。人の本を読むと、大体「アメリカに行って人生変わった」って書いてあったので(笑)。アメリカでは、育休中の女性が勉強して資格を取って、会社に昇格して復帰するっていうのを目の当たりにしました。アメリカの女性は、育児は仕事の壁やブランクじゃなくて、むしろ視野を広げてブラッシュアップする期間だとサラッと言っていました。日本に帰ったら、こういうことを仕事にしたい!と感じて、今の仕事の原点になりました。
大学に5年間通うっていうのはリスクのように思えたんですけど、たった1年で視野が変わることもあります。たった1年なんて、実は自分以外は誰も気にしない。入社した後、あなたは4年で出たの? 5年で出たの? なんて聞く人は1人もいない。私の出身の大学すら、異動した後は誰も気にしない。大学を無理にキレイに出ようとは思わないで、大学生の間に日本の文化とはまったく違う国から日本を見て、日本の良さや異常さを理解するっていう経験をしてから企業に入ってもらいたいなと。今の日本企業の凝り固まっているところを打破できるのは、やっぱりそういう考え方を持ってきてくれる人なので。