若手議員が若者の低投票率改善に立ち上がる

2017.3.14

政治

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3月13日、若手議員を中心とした勉強会「若者の政治参加検討チーム」のキックオフ会合が行なわれた。議員メンバーは、[衆議院]小倉将信氏(35・2期)、小林史明氏(33・2期)、鈴木隼人氏(39・1期)、宮路拓馬氏(37歳・1期)、村井英樹氏(36・2期)、[参議院]佐藤啓氏(37・1期)、山下雄平氏(37・1期)ら自民党議員8人。

ゆくゆくは超党派の会に

進行を務めた鈴木隼人議員は冒頭のあいさつで、「これからの人口減少、超高齢化社会を乗り越えていくためには、幅広い世代を巻き込んだ健全な民主主義を維持し、国の判断を誤らないようにしていく必要がある」と述べ、若者の政治参加について検討していく意志を明らかにした。

検討事項に挙げているのは、「投票環境の整備」「主権者教育」「意思決定への参画」「啓発」「推進体制」など。初回は、総務省をはじめ、東洋大学法学部法律学科長・竹島博之教授、政経電論でも政治企画を連載しているわれらがあすぽん(岸明日香)も参加し、「投票環境の整備」について意見交換を行った。

年内に提言をまとめ、自民党執行部に提出する予定。扱うテーマからして与党に限った話ではなく、ゆくゆくは超党派の会にしていくことも考えているという。政治の世界は力を持つベテランばかりが幅を利かせるものだが、こうした若手の動きは国民にとっても目新しく映る。いい動きにつながるだろうか。

投票率が低いことによるデメリット

直近の参議院選(2016年7月)での20代の投票率は35.6%。過去20年をさかのぼっても平均約34%で、70%オーバーの60代と比べると2倍以上の開きがある。極端な話、これは20代より60代向けの政策が2倍以上実施されるということ。医療費ひとつとっても、現役世代は3割負担だが70歳以上は1~2割負担。現役世代が将来受け取れる老齢年金額は、1999年をピークに下がり続けている。

基本的に、政治は票を入れてくれる人たちのための政策をとる。シルバー民主主義といわれる昨今、若い世代がこのまま声を上げなければ、高齢者や特定団体、組織の意向に沿った政策が打たれ続け、まともな国の運営がされなくなってしまうだろう。

20代約600万人の内、仮に投票していない386万人が参加したら、選挙の結果は全然違うことになっていた可能性もある。また、政治家はそういう投票する世代を絶対に無視できなくなる。当事者が知らないだけで、若者の声は決して小さくないのだ。

志だけでは変えられないが…

ただ、投票に行かない若者が実際に政治に関心がないかというと、約6割の人たちが「非常に関心がある」「関心がある」(対象:18~24歳、第8回世界青年意識調査 内閣府2009)としていて、投票率の低下にはほかに原因があるようだ。

投票に行かない理由として「仕事が忙しい」が最も多く、次いで「選挙によって政治や暮らしが良くなるわけではない」、「適当な候補者がいない」が続く。また、大学生特有の理由として、現在住んでいる場所に住民票を移していないが約6割(「18歳選挙権認知度調査」明るい選挙推進協議会2015)や、ただ単純に「投票所に行くのが面倒」という意見も約3割いた。

今回の勉強会では、「コンビニの環境を利用できないか」「大学内に期日前投票所を増やしてはどうか」などの意見が出ていたが、こうした物理的な理由を解決する方法としては、ネット投票が手っ取り早い。ネット投票はなりすましなどのセキュリティーの問題が指摘されるが、マイナンバーと連携すれば問題ないはずだ。

「若者の政治参加検討チーム」は、至極まじめでまっとうな勉強ではあるが、若手議員のパフォーマンスで終わることに意味はない。多少無茶な手段を使うことになったとしても、本当に投票率を上げる、現実に即した発信や提言を期待したい。