政治

安倍元首相銃撃事件に振り回された一年【2022年政治10大ニュース】

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2022年の国内政治は、安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に銃撃され、死亡した事件に大きく振り回された。歴代最長政権を率い、辞職後も自民党最大派閥の会長として多大な影響力を持つ安倍氏の急死により、自民党内のバランスが変化。岸田文雄首相が安倍氏の葬儀を「国葬」と決めたことをめぐっても世論が真っ二つに割れ、犯行のきっかけとなった旧統一教会は社会問題化した。10大政治ニュースをランキングにまとめ、一年を振り返る。

第1位 安倍元首相銃撃され死亡、国葬めぐり世論二分

安倍元首相は7月8日の午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で演説していたところ、歩み寄ってきた男に銃で撃たれ死亡した。享年67歳だった。

岸田首相は自ら主導して1967年の吉田茂元首相以来となる国葬で弔うことを決めたが、決定プロセスの不透明さなどに批判が殺到。国葬当日は一般向けの献花台に市民による長蛇の列ができた一方、各地で国葬反対を訴えるデモが行われるなど国論が二分された。岸田政権は国葬を政権浮揚につなげる狙いだったとみられるが、目論見は見事に外れた。

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2022.7.31

第2位 ロシアがウクライナに侵攻、核危機に

海外の出来事だが、ロシアによるウクライナ侵攻は国内政治にも大きな影響を与えたため第2位にランクイン。

ロシアは2月24日に侵攻を開始。当初は短期決戦でゼレンスキー政権を崩壊させる狙いだったとみられるが、ウクライナ側の激しい抵抗により長期化。欧米の武器支援を背景に一部地域ではウクライナが押し戻すなど激戦が続いている。第二次世界大戦以来ともいわれる本格的な戦争を目の当たりにし、日本国内でも防衛力強化を求める声が高まる契機となった。

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第3位 旧統一教会が社会問題化

安倍元首相の銃撃犯が、犯行動機について「旧統一教会に家庭を崩壊されたことへの恨み」と話したのを機に、教会への高額献金問題などが社会問題化。自民党を中心に教会と国会議員や地方議員と教会との接点が次々と明らかとなり、岸田首相は局面打開に向けて内閣改造を前倒しで実施した。さらに、世論の教会への激しい反発を受けて政府・与党は被害者救済法案を国会に提出。野党との協議を経て12月10日の参院本会議で可決、成立した。

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2022.11.17

第4位 岸田政権の閣僚相次ぎ辞任、支持率低下

岸田首相は旧統一教会との接点が見つかった山際大志郎経済再生担当相を内閣改造でも続投させたが、さらなる接点が次々と発覚。追及に対してあいまいな説明を繰り返す山際氏への批判が高まったため、ついに事実上更迭した。死刑執行の職務を揶揄した葉梨康弘法相、政治資金問題が浮上した寺田稔総務相も相次いで辞任。いずれも首相の決断が遅かったことから国民の不満が噴出し、一部の世論調査では内閣不支持率が50%を超えた。

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2022.12.1

第5位 歴史的な円安・物価高に

ロシアによるウクライナ侵攻を機に、世界的にエネルギー価格やウクライナなどが原産国である穀物の価格などが高騰。アメリカではインフレ抑制に向けて金利を引き上げたため、ゼロ金利の続く日本との金利格差が広がり円安も急激に進んだ。円ドル相場は一時1ドル150円を超え、1990年以来32年ぶりの円安水準となった。

世界的な物価高に加えて日本国内では円安により輸入品の価格が上昇。物価高に拍車がかかったため、政府は対策に追われた。

円安は良いのか悪いのか? 日本の金融政策の分岐点

2022.5.2

第6位 新型コロナ流行続くも規制は緩和

2020年から続く新型コロナウイルスの感染は2022年になっても収まらず、2022年夏の「第7波」では一日の感染者数が25万人を超えるなど引き続き猛威をふるった。ただ、重症者数は減っていることから政府は水際対策を段階的に緩和し、外国人旅行者の本格的な受け入れを再開。国内でも「旅行支援」を開始し、観光地は賑わいを取り戻している。

マスクはいつ外せるか withコロナを改めて考える

2022.6.21

第7位 参院選で自民圧勝、比例の野党第一党に維新

第26回参院選が7月10日に投開票され、与党自民党が改選過半数となる63議席を獲得する圧勝だった。投開票の2日前に起きた安倍元首相銃撃事件も影響を与えたとみられる。憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会での発議に必要な参院の3分の2議席を維持。野党では衆院で最大勢力の立憲民主党が議席を減らし、日本維新の会が比例代表で立民を上回って第一党となった。

参院選、自民圧勝 改憲勢力3分の2 野党の比例第一党は維新

2022.7.11

安倍元首相急死の影響のなか明日、参院選投開票

2022.7.9

第8位 敵基地攻撃能力保有へ、防衛費増に向け増税も

政府は12月16日、外交・防衛政策の長期指針である「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を改定。防衛関連予算を倍増させることや、戦後初めて敵基地攻撃能力を保有することなどを決めた。自民、公明両党は防衛費増額の財源として法人税、所得税、たばこ税を増税する方針を決めたが、党内の反発に配慮して「2024年以降の適切な時期に実施」と記載するにとどめた。

第9位 衆院定数「10増10減」が決定、候補者調整本格化

いわゆる「1票の格差」を是正するため、衆院の小選挙区の数を「10増10減」する改正公職選挙法が11月に成立。12月28日に施行することとなり、施行日以降に行われる衆院選から適用されることとなった。

全国25都道府県の計140選挙区で区割りが変更され、東京で25から30、神奈川で18から20に増えるほか、宮城や和歌山、広島、山口など10県で選挙区が1ずつ減る。各党ではさっそく候補者の調整が始まったが、特に選挙区が減る地域では調整の難航が予測されている。

10増10減反対論の理由と、政治が都市部の声を反映しない理由

2022.1.14

第10位 米中間選挙で与党・民主党が善戦

アメリカの中間選挙が11月8日に行われ、バイデン大統領率いる与党・民主党が連邦議会の上院で多数派を維持した。下院は共和党が過半数を奪還。バイデン大統領の政権運営は厳しさを増すが、事前予測では上下両院とも共和党が過半数を抑えるとの見方があっただけに、もっぱら民主党が善戦したと評価されている。共和党のトランプ前大統領の影響力が衰えているとの見方もあり、2年後の大統領選への影響が注目されている。

米中間選挙 民主党善戦でトランプ氏以外の候補を求める声強まる?

2022.11.15