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【金】への投資で資産防衛 先行き見えない時代こそ実物資産に注目

2018.3.12

経済

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【金】への投資で資産防衛 先行き見えない時代こそ実物資産に注目

2017年から2018年の初めにかけて上昇基調が鮮明だった株式市場ですが、2月に入ってから不穏なムードのなかで上下に値動きの荒い展開が続いています。こうして先行きが見通しづらくなってくると、代わって注目されがちなのが【金(ゴールド)】で、グローバルに資金の流入が活発化してその価格上昇する傾向があります。株式をはじめとするリスク資産の下落ダメージを軽減するために、資産の一部を金に投資しておくという手法が考えられるわけです。しかも、金への投資はわずか1000円から可能となっています。

株式市場が乱高下すると金価格は上昇しやすい

2016年6月下旬、英国で国民投票が行われてEU離脱が決定的となった瞬間、世界中に大きな衝撃が走りました。いわゆる「ブレグジット(Brexit)」で、その影響が計り知れないことから世界的に株価も急落し、まさに全面安の展開となったのです。

ところが、そういった動きとは対照的に、開票が進んで離脱派優勢と報じられ始めた頃から急上昇を示し、5月につけた1306ドルの高値をあっさり更新したのが【金】の国際価格でした。

さらに、今年に入ってからも2月5日に米NYダウ平均株価が1500ドルもの大暴落を記録したのを機に、株式市場の乱高下が続いています。やはり、その陰で上昇傾向が顕著になり、再び2016年の高値水準まで回復を果たしてきたのが金の国際価格です。

金の地金は紙幣と違って燃えても無くならない実物資産であるだけに、市場がリスクオフのモードに切り替わった局面で“有事の金”として注目されやすいのです。資産の一部を金に投資しておけば、そういった事態に対するヘッジ(回避)手段となってくるわけです。

◇リスクオフ

株式をはじめとするリスク資産から資金を引き上げて、金や債券といった比較的安全な資産に避難する動きのこと。逆に、リスク資産に資金を移して積極的にリターンを狙う動きのことをリスクオンと呼ぶ。株式市場の暴落や地政学リスクの高まりなどを機に、世界中の投資家がリスクオフの行動を取りやすい。

また、年初からビットコインが暴落したように、このところは仮想通貨の下落傾向も顕著です。それまでバブル的に上昇した反動も考えられるものの、やはり金のように古くから人類共通の価値認識のあるものと比べれば、仮想通貨に対する信認は遠く及ばないと言えそうです。

◇ビットコイン(BTC)

2008年10月にサトシ・ナカモトなる人物がビットコインに関する論文を発表し、その約2カ月後には最初の取引履歴情報がネット上に発生し、2009年10月には米ドルと初の交換が行われた。当時の値段は、日本円換算で0.009円程度。欧州債務危機が深刻化した局面でビットコインに資金を避難させる投資家が続出し、価格の上昇が顕著に。その後、2015年頃までは下落基調に転じたものの、2016年の後半からまたしても高騰し、2017年11月下旬には1BTC=100万円を突破、年末には230万円超の最高値をつけた。しかし、2018年に入ってから急落して一時70万円割れに。

金への投資手段とメリット・デメリット

では、金に投資する方法としてはどのようなものがあるのでしょうか。まず、金の現物を手にしたい人は、地金やコインを選ぶことになるでしょう。ただ、コインは加工に手間がかかる分だけ価格が割高ですし、500グラム未満の地金はバーチャージという手数料がかかります。

これに対し、純粋に投資対象として目をつけるなら、金ETFが最も取引しやすいと言えるでしょう。少額から時価で売買でき、取引コストも安いのが魅力です。

◇金ETF

ETF(指数連動型上場投資信託)の一種で、時価が金価格に連動するように設計されている。証券取引所に上場していて、株式と同じ感覚で時価による売買が可能。金の現物とは交換できないものが主流だが、一部は所定の金額以上に達したら可能。

また、金ETFを上回るハイリターンを追求したい人は、金の先物取引や金鉱株ファンドに注目するといいでしょう。先物取引はレバレッジをかけられるのがメリットでもあり、同時に注意点でもあります。

◇レバレッジをかける

預けた担保(証拠金)の何倍にも相当する資金で取引でき、投資効率を高められること。例えば、10万円を預けて30万円の取引を行って1万円の利益を上げれば、10万円の元手で10%のリターンを達成できる。この場合、3倍のレバレッジをかけたことに。10万円で10万円の取引をした場合はレバレッジ1倍で、利益は先ほどの3分の1となるため、リターンは約3.3%にとどまる。

一方、金鉱株ファンドは金を採掘している企業の株式を投資対象としている投資信託で、その時価(基準価額)は金価格以上の値動きを示しがち。裏を返せば、下落した場合の動きも派手になりやすく、その点がデメリットと言えるでしょう。

さらに、まとまったお金を持ち合わせていないという人のために、積立という方法も用意されています。純金積立と呼ばれるもので、田中貴金属や三菱マテリアルといった貴金属会社や一部の証券会社などが取り扱っており、月々1000円から始められる会社もあります。いずれも所定の積立額に達したら、コインやジュエリーといった金の現物と交換が可能です。

金への積立はコツコツと時間をかけることで効果を発揮

先物取引や金鉱株ファンドなど、短期的な動きでもハイリターンを狙えるものを別とすれば、基本的に金への投資はもっと長いスパンで取り組むべきもの。特に積立という方法を選んだ場合は、できるだけ長くコツコツと継続していくことが肝心です。

金価格に限らず、天井と大底をつけるタイミングを完璧に言い当てることができないのは、あらゆる相場に言えること。だからこそ、積立でずっとタイミングを分散して投資し続けていくことで、ドル・コスト平均法の効果に期待したいのです。

◇ドル・コスト平均法

定期的に定額ずつ資金を投じていくことで、相場が安い局面では多めに買い付け、逆に高い局面では少なめに買い付ける結果となり、平均の取得単価が平準化されるという効果。将来的に価格が上昇していけば、安い局面でコツコツと買い続けた成果が結実する。

金の国際価格の長期的な推移を振り返ってみても、2000年に入った頃には300ドルを割り込んでおり、2004年を迎えた時点でもまだ400ドル程度にすぎませんでした。しかし、2009年頃から上昇が顕著になり、2011年には一時1800ドルを突破しています。

その後は下落基調に転じ、2016年は1100ドルを割り込む局面も訪れました。以後の展開については冒頭でも触れた通りです。こうした動きとなってきたことを踏まえても、やはり金への投資は長期スパンで望むのが無難でしょう。

ただ、比較的近い将来には、金価格の上昇を誘いそうなイベントも控えています。それは、2019年10月に予定されている消費税の引き上げです。

金を購入する際には消費税を負担しますが、売却する際には逆に消費税分を受け取れます。そこで、消費税がまだ8%のうちに買っておき、10%に引き上げられてから売って2%の利ザヤを得ようとする動きが活発化する可能性があるのです。

今のうちからこつこつと買い続けながら、そのイベントが発生する直前にまとめて買い集めるのも一考かもしれません。