ギリギリセーフの「非エリート論」

できる人はミスのレベルも高い[ギリギリセーフの非エリート論]

2015.1.13

ビジネス

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サラリーマンで評価を上げようとすると、ミスをしないことが大切だと思われます。普通のできる人はこれでOK。しかし、もっとできる人は”レベルの高い失敗”をします。これこそが、人を巻き込み、さらにできる人になる極意だったりします。

株式会社経営戦略パートナーズ 代表取締役

別所 諒 べっしょ りょう

1969年生まれ。都留文科大学卒業。ビジョン・コンサルタント。株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役。個人や企業のビジョンを形にするコンサルティングを行う。クライアントは有名コンサルタント、セラピストから社員数100名の企業まで多岐に渡る。王道を外した個性的な個人や企業のコンサルティングが得意。従って、クライアントは少し変わっているので、毎日仕事が楽しい。

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一人でできることは限られている

このところ仕事の能力について考えます。能力が高いというのは仕事ができるということになりますが、仕事ができるとは何でしょう?
最初は話がうまいとか、提案力があるとかというポイントで評価されるかもしれませんが、その後何らかの成果が出せないと最終的には”口だけの人”という評価になります。

成果について考えるときに、どんなに仕事ができる人でも”一人でできることは限られている”という点に行きあたります。
営業マンの場合、モノを作る人がいなければ売るものはありませんし、受けた注文を処理してくれる人がいなければ納品書も出せません。
デザイナーなどの場合でも同じことが言えて、仕事を受注してくれる営業マンが条件のいい案件を持ってくることができないと、力を発揮することができません。

私がサラリーマンをやっていた時代は、総務や経理は当然の存在でしたが、独立してから自分でやらないといけなくなって、そのありがたさがよくわかりました。
結局のところ、一人でできることが限られている以上、仕事ができるとは、周囲を巻き込むことができるかどうかということになります。

周囲をいかに巻き込むか

周囲を巻き込む方法はいつくかあると思いますが、やはり自分が先頭に立たないことには人は動いてくれません。ここがわかっている人は”できる人”なのですが、そんなに多くはいません。あなたが人を巻き込んで仕事ができているなら、相当にできる人だと自覚しても間違いはないでしょう。

企業の業績アップに大切なのは、戦略よりも人材活用です。ですから、僕がコンサルの現場に入って、会社の業績を上げるためには、できる人に手本になってほしいとお願いしています。
ほとんどの場合、二つ返事で快諾してくれますが、実際に仕事を始めると、ほとんどの人は凹むか僕への不信感を抱き始めます。理由はシンプルで、みんなの見ている前でダメ出しするし(逆に成長中の人には優しい)、頼む仕事も難しいことを割り振るからです。

「僕にだけ厳しいじゃないですか」「これでは僕の評価が下がってしまうじゃないですか!」と噛みついてこられることも珍しくはありません。しかし、「まぁ、がんばってよ」と基本的には取り合わないようにしています。というのは、できる人ができるところを見せても何の手本にもならないからです。

できる人ができるのは当然、そんなところを僕が褒めようものなら、他のメンバーはできる人をひいきしているとしか見ません。逆に、できる人が失敗したり、そこからリカバーしたりするプロセスが手本になるわけです。
当然ながらこっちも高みの見物というわけにはいかず、アイデアを出すときには、コンサルタントなんていう看板は捨てないといけません。僕を信用しているのは僕を雇った社長だけで、スタッフの方々にしたら、「お金を払っているんだからアイデアを出すのが当然」となっています。

もちろん、僕の提案がうまくいかないときもあるわけで、そのときこそ、信頼を得るチャンスになります。
失敗をして評価が下がるなら、結局レベルが低いからで、本当にできる人は、失敗のレベルも高いので、失敗しても評価は下がりません。
できる人はできることを見せても手本にはならないけど、できる人がレベルの高い失敗をしながらでも仕事を進める姿こそが手本となります。こうして人は巻き込まれていくのです。

あえてリスクをとって失敗してみる

実際、コンサルタントは、クライアントの気づきを促すという”てい”で、質問には質問で返すという技を使えばノーリスクなのですが、あえてリスクを取って、スタッフと横に並んで仕事をするというのが、手本になることを要求している僕にできる手本となる行為だと思います。

ですから、コンサルの現場では、全部がうまくいくわけではないけれど、あきらめないという点においては、失敗というのはありません。やり続ける限り、失敗は「テスト」「実験」と言い続けているわけで、やっぱり気長に雇ってくれている社長には感謝しないといけないなと思います。
ちなみに、言い訳しているのではないのでご安心を。もちろん、最短で成果を出すためにがんばりますよー。先生なんて言われてつけ上がらないための自戒の投稿でした。

もし、上司につらく当たられているなと思ったら、僕のような考えをしているのかもしれませんね。失敗を許す上司が良い上司だとは思いませんが、チャンスをくれる上司がいるなら、サラリーマンとしての環境には恵まれています。会社のリスクで実験ができるなら、そんなに大きなチャンスを使わない手はありません。

できる人というのは失敗を恐れる傾向があります。その気持ちは十分に理解できます。ミスをすることで評価が下がってしまうかもしれないと考えるのは、できる人の特権です。
だからこそ、さらにできる人になるためには、レベルの高い失敗をすることをおすすめします。