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政治

憲法を知らない人が議論することに意味がある ロンブー淳の『日本国憲法TV』~出演者座談会も

2017年01月 1日
読了時間: 08分00秒

写真/片桐 圭

2016年9月12日から、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが、"テレビ局ごっこ"TVatsushiをスタートさせている(CS放送 294ch)。第一弾として放送しているのが、『日本国憲法TV』(月~金 26:15~26:25)だ。日本人にとって意味深いものでありながら、実はあまり理解されていない「憲法」。そんななか同番組ではどんなことを発信しているのか、収録現場を訪ねた。

改憲論議が高まっている今だからこそ

『日本国憲法TV』は、日本国憲法について"専門家ではない人たちが独自の解釈で憲法を読み解く"ことをテーマにしていて、「憲法改正議論が高まっている今だからこそこんな番組が必要なのでは?」(淳さん)との思いで作ったという。

出演者は、憲法のことを知らないお笑い芸人やアイドルたちばかり。年齢層は10代~40代と少し幅広い。最初は憲法学者を呼ぶ話もあったようだが、意見が引っ張られることを懸念して、淳さんの身近にいる"憲法に興味がないであろう人たち"や、オーディションから人を集めることになった。ちなみにスタッフにも特別詳しい人がいるわけではないという。

日本国憲法TV正月の特別編(1月3日放送)の様子

「『憲法』って普段見過ごしていますが、絶対的なことじゃないですか。収録していると、人がちょっと言ったことで軽くカチンときたり、議論が熱くなる。勉強をしてこなかった子のほうが、良い発想をしている気がします」(番組演出)

同番組では、70年前に憲法が作られた当初とはまったく違う解釈が行われている。Twitterなどの意見を踏まえた、シェア時代にふさわしい新たな視点を作る番組を目指しているのだ。

「SNSの使い方がうまくて、セルフプロデュース能力の高い淳さんが手がけるからこそ、『憲法』というものを身近に、"手前"に共有できているのではないでしょうか」(同演出)

今回、収録取材にあたり、ヘビーローテーションで出演するお笑い芸人・第2PKのひろみさん、同じくお笑い芸人・佐々木優太さん、そしてアイドル・キラキラゲリラのまーこさんにインタビュー。収録の様子や憲法に対する印象などを聞いた。

ひろみ&優太&まーこ 若手メンバー座談会

ひろみプロフィール第2PK ひろみ 1989年3月1日生まれ、東京都出身。サンミュージック所属。趣味はサッカー、漫画、映画、服。剣道2段。 https://twitter.com/dai2pkpk
佐々木優太プロフィール佐々木優太(ささき ゆうた) 1992年9月24日生まれ、宮城県出身。吉本クリエイティブ・エージェンシー所属。 https://twitter.com/endoryuta
まーこプロフィールキラキラゲリラ まーこ 1989年8月17日生まれ、福岡県北九州市出身。趣味はファッションと曲作り。アイドルグループ・キラキラゲリラの破壊担当。 https://twitter.com/kkg_maaaaako

――一般的にすごく難しいというか、話しづらいテーマですが、どんな思いで収録に臨んでいますか?

まーこ ニュースは毎日見てましたけど、そこまで深く考えたことはありませんでした。ましてや憲法なんて、授業で習ったのも何年前か。

でも、この番組はあえて知らない人が憲法を解釈しているので、見てる方たちと立場が同じなのがいいと思います。

優太 日頃、憲法を考えることがなかなかないなか、子どもにわかるように説明するっていうのが面白いと思っています。憲法で"遊ぶ"感覚ですね。

ひろみ 僕は本とかも読まないですし、ニュースもなんとなく見るくらい。この番組はリアルを見せたい番組だと思うんです。憲法っていうものをみんながどれだけ理解してなくて、どれだけ興味がないかっていうのを。それを見てほしいなと思ってやってますね。

日本国憲法TV2

――解釈は進んでいますが、今までもあえて答え合わせしていませんよね。"解釈"するときに一番難しいことは何ですか?

ひろみ この世に何冊も憲法に関する本が出ているなかで、いろんな考え方があるのに、その答えも一つも教えてもらえてない......。言葉の意味を理解してないまま、反対の意味で解釈したこともありました。本当に僕らが持ってる知識がすべて。見ている方に知識があったら、イラつかれるんだろうなって思います。

まーこ 本当に知らない言葉が出てくるんですよ。聞いたことがない言葉とか、初めて聞く言葉。でも、それも読み解かないといけなくて。例えば熟語があったら、知ってる方の単語だけ見てなんとなく意味を推測してやるんですけど、全然違うことの方が多い(笑)。

初めて出合った言葉と向き合って、それをさらに子どもにわかるようにかみ砕くっていう、すごい難しいことしてるなって自分で思います。自分の生きて来た中で知ってることを最大限に活用してますね。

まーこ

優太 70数年前の条文だから、古文・漢文やってるような感覚にもなります。あと接続詞は結構難しいのもあって、「特別裁判所は、これを設立することができない」の、"これ"がどこにかかってるか、みたいな。

ひろみ "解釈"っていう意味では、僕はあまり自分の球を放らないようにしています。なんとなくまとめ役になっているからっていうのもありますけど、最初に自分の意見を決めてから入っちゃうと、周りの人が言ってることがまったく理解できなくなっちゃう。たぶん、本当にかみ砕こうとしたら、一番苦手なくらい向いてないと思います。

まとめるところはスマートに見えているかもしれませんが、それはみんなの意見によって作られた虚像です(笑)。

優太 人の力借りてね(笑)。僕もどっちかといえばまとめる役なので、人が言ったことを踏まえて発言するのは得意です。

――番組を通して「憲法」というものについて、印象が変わったことはありますか?

まーこ こうやって普通に生活してる背景に、実はそういう決まり事があって、守ってくれてるように感じました。一人じゃない的な。

優太 とっつきづらいイメージがありましたけど、意外と書いてあることは単純なんだなってわかりました。でも、書き方が小難しいですよね。何でこういう書き方するのかな。

言葉遣いとかも伝わりづらいし、70年前と今とじゃ文化も何もかも違うだろうから、個人的にはもっと新しいものにしてもいいんじゃないかなって思ったりします。

優太

ひろみ もしも誰かに「憲法ってさ、あーでこーだと思わない?」って言われたときに、「わかんないわ」って言うのは、知らない人のほうが悪いんじゃないかなってずっと思っていました。

でも、興味がなかったからまったく覚えようとは思わなかったんですけど、一回やり始めたら確かに知識はあった方がいいなって思いましたね。何で総理大臣があんなに偉いのかとか、天皇陛下ってなんでああいう感じに扱われているのかとか、意味があることがわかる。ちょっとずつ知識が増えることは喜びではありますね。

――スタート当初から比べると皆さんだいぶレベルアップされているように感じます。番組ではチーム分けされていますが、チームメイトでも、ほかのチームでも、誰か気になる人はいますか。

まーこ それこそ、このまとめ役の2人(優太、ひろみ)が、自分の意見は言わずに、まとめる方に撤してるっていうのを初めて知りました。ずっと黙っていたのは、すごい考えてるんだと思ってたから。

一同(笑)

まーこ "おじさん枠"って言われてる人たちは、生きてる年数違うから私より全然いっぱい知ってることもあると思うし、その人たちがどう思ってるのかとかは気になります。でも意外と年齢が上だからって、憲法のこと知らないんだなっていうときもある(笑)。

おじさん枠"おじさん枠"には、ニブンノゴ!の大川知英(左)、森本英樹(中)や、じゃぴょん桑折(右)らが。

優太 "おじさん枠"の人は、すごい突拍子もないこととかを言ってくるので、僕も注目してます。

ほかに意識してるのはひろみさん。自分と同じような役割してるから、ひろみさんはどんな感じでまとめるんだろうみたいな。対抗意識はすごいありますね。

ひろみ 僕が調子悪かったりすると、「ひろみさんどうしたんすか?」みたいなのめっちゃ言ってきて、逆に調子良かったらしゃべりかけてこないんですよ。

"おじさん枠"にはニブンノゴ!の大川(知英)さんがいるんですけど、一度、何かをリュックに例えたことがありまして。みんなはリュックを背負ってるんだけど、これを下したらいいんじゃないかみたいなことを発言されて。そしたら、ほかの4人が「リュック」で話を始めちゃって。これ何の話してるんだろうみたいな状態に(笑)。

最初この番組出てるってなったときは、周りの人はアイドルだし、自分は芸人だからボケなきゃって思ってたんですけど、今はもう一切ボケる気ないですね。勝てない。

まーこ 私は思ったことを本当に素直に言っていますね。たぶん私が言ってることで「え?」ってなるときもあると思いますけど、2人みたいに、それを全部まとめてくれる人がいるっていうのはすごい安心できます。

日本国憲法TV3

――進行役の淳さんは、ときどき厳しいことを言いますが、言っておきたいことはありますか。

ひろみ ある女の子が一人でしゃべって条文全部まとめちゃったときがあって、そのときの僕の顔、めちゃめちゃ厳しい顔してたらしくて、「俺の仕事取るな」みたいな。淳さんに「嫉妬に狂った顔してるね」っていじられて。そこから僕、他の人がまとめたら笑うようにしてるんですよ。優太はこの感じわかるよね?

優太 淳さんは、解釈が滞ったときにヒントだけくれるんです。でも、同じ条文で2週ぶち抜いたときがあって......。

ひろみ そのときの淳さんは2倍くらいの大きさに見えたね。「お前ら早くどうにかしろよ」みたいな。

まーこ 私は同じこと何回も言ってるってよくツッコまれるんです。淳さんは、なんか本当うまい具合にいじわるっていうか、今ので合ってるでしょ?っていうときも、「じゃあこれでいいの?」みたいなことを聞いてきて、惑わせる。

そういうときは頭めっちゃ働かせるんですけど、ショート寸前になると本当に何言ってるかわからなくなるから、ごめんさいっていつも淳さんに思いますね。

――憲法は全部で103条ありますが、やりきる道は見えてきていますか?

ひろみ 最初の方は、足踏み感が半端じゃなかった。だからこれ何年番組になるんだろうって思ってたんですけど、そしたらちょうちょい調子が良いときにみんながポポポンといける。

まーこ これ前に出てきたやつじゃない?みたいなやつもあるもんね。

ひろみ だから終わり見えてきたのはなんとなく感じてますけど、103条を達成するよりことより、早く答えが知りたいっていうのがありますね。

ひろみ

――正月のスペシャル回(1月3日(火) 16時00分~16時50分)では、「憲法9条と核保有」「日米同盟」「TPP離脱」といったテーマで議論もしています。

まーこ 普通、ニュースについて何か思っても一生誰にも言わずに生きていきてくじゃないですか。私が何を思ったって世界は何も変わらないし......みたいな感じで思っていましたけど、今回みんなで話してたら、あそこにいる人数だけでも全然意見が合わないことだらけ。

人の意見で、確かにって思うことの方が多かったから、自分の未熟さもわかったし、何も知らずに生きていかなくてよかったっていうか、ああいう議論ができてよかったなと思いました。もっとちゃんと知りたいです。

優太 教科書の中の出来事やニュースの話が、すごいリアルに感じました。近い将来、そういう決断しなきゃいけないってなったときに、たぶんみんなもこういう話とか意見を持ってなきゃいけないと思う。

最初の入口は淳さんでも、かわいいアイドルの子を見るでもいいです。この番組を見て、意見持ってくれたら、ジャッジしなきゃいけなくなったときに、ちょっとでも良い選択ができるんじゃないかなって思います。

ひろみ 僕ら普段、例えばサッカー見てるときは「あの選手がいい」って討論してるはずなんですよ。M-1グランプリ見て、「絶対あのコンビ優勝だったでしょ」とか。興味あることだったら絶対言い合ってるのに、興味がないとやらない。

"戦争"とか"核兵器"とか、本当はゲボ出そうなくらい嫌なテーマなんですけど、僕も知らなければいけないところに足を踏み入れたんだなと感じています。

フランクに見てくれたら、みんなも興味持ってもらえると思いますし、居酒屋とかで、一つでも多くこういう話をしてくれるようになったらいいですね。


ロンブー淳の憲法解釈番組『田村淳の日本国憲法TV』

『田村淳の日本国憲法TV』
スカパー294ch 月曜~金曜 26時15分~26時25分
※2017年のレギュラー放送は1月4日(水)から
MC:ロンドンブーツ1号2号 田村淳
出演:若手お笑い芸人、アイドルほか

»TV atsushi公式ホームページへ

2016年9月12日に第1回放送。日本国憲法を読んだことないお笑い芸人やアイドルたちが、専門家の力を借りずに読み解く番組。制作から出演、編成、営業に至るまで、すべてを田村淳さんが行っている。

『お正月特別編』
2017年1月3日(火) 16時00分~16時50分

憲法の解釈はお休みして、世間で話題のニュースを議論する特別編。トランプ次期米大統領の誕生を背景にした、「憲法9条と核保有」「日米安保」「TPP離脱」などがテーマ。

出演:大川知英/森本英樹(ニブンノゴ!)、じゃぴょん桑折、佐々木優太、ひろみ(第2PK)、山ノ内凱旋、まーこ(キラキラゲリラ)、ふくれな、横塚まよ、あやの

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