編集長ブログ

東京都知事選 小池氏の駆け引きは天才的だが盤石でもない

2020.06.19

政治

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コロナ渦の中で異例の選挙戦が始まった。

首都東京の知事選という事で、非常に注目される選挙なのだが、今回はやはりコロナの影響が多大だ。

一番の注目株は現職の小池知事だ。前回は緑の旋風を起こし、古巣の自民党から推薦を受けた増田寛也氏ら乱立する候補者を振り切り圧勝した。

今政権与党の自民党は自党の世論調査で小池氏に勝てる候補は立てられないと判断し、自主投票とした。前回、弓を引かれた形だが、小池氏への抱き着き作戦を取る。小池氏と親しい二階幹事長は公然と小池氏を応援し、推薦も与えようとしたとされる。コロナ対策で落ち目の自民党の推薦は断り、対抗馬を立てさせず自主投票にさせたのは小池氏の方が一枚上手だ。このような駆け引きは天才だ。4年前同様自民党はコケにされた。

とはいえ、この人が盤石かと言えばそうは思わない。何せ、前回の公約はほとんど果たせず、築地の問題もうやむやで、前回ほどの勢いがあった訳ではない。

コロナ問題が彼女の評価を一瞬上げたが、大阪の吉村知事に比べると後出しじゃんけんのようで、行き当たりばったり感満載だ。オリンピック延期が決まるまではだんまりを決め、延期が決まった途端に、堰を切ったようにコロナ対策を言い出した。後手後手に回る政権をやんわり責め、自らの支持に向かせた。

しかし、横文字乱発で、最後の東京アラートはよく理解もされず、判断基準を見直した。

それでも現職は強い。順当ならこの人で決まりだろう。

コロナ渦で、演説などは大規模に行えない。知名度に勝る小池氏が強いことに変わりはない。

無風選挙だと思われていたところに、れいわ新選組の山本太郎氏が立候補を表明した。この人が台風の目になるだろうと思う。

野党候補の宇都宮健児氏は3回目の挑戦だ。元々共産党系の候補者だ。3回目と言っても前回の都知事選では公示日直前に立候補を取りやめ、実質4回目の立候補表明だ。彼なりの信念はあるのだろうが、まず勝てない。立候補は自由なのでお好きにという感じだが、勝てない候補を推薦する立憲民主党もどうかと思う。(社民党も同様だが存在感がなさ過ぎるので)

吉村大阪知事の活躍で、支持率も急上昇の日本維新の会だが、さすがに東京で同様の支持を得るのは難しいし、元熊本県副知事の小野泰輔氏では知名度があまりに低い。僕もほとんど知らない。

N党の立花氏も、ある一定の支持にとどまり広がりは期待できない。

僕自身はその政策にシンパシーを感じているわけではないが、前述した山本太郎氏は侮れないと思っている。あの選挙民を扇動するセンスは抜群で、泡まつ候補のような事を言う人(僕の周りの経済人など、いわゆるエスタブリッシュメント)の予想を超える票を集める気がしている。

何度も言うが、僕は天皇陛下に直訴するような山本氏を支持するわけではないが、あのセンスは卓越している。都民に10万円配るということと、オリンピック中止を二大公約に掲げているが、都民がどう判断するのか。

合わせて22人の立候補は過去最大だ。その審判が下るのは7月5日だ。

 

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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