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非武装地帯 Korean Demilitarized Zone、DMZ、38度線

別名「38度線」。朝鮮戦争の“休戦”を示す軍事境界線

韓国と北朝鮮を分かつ軍事境界線と、これに肉付けするように設けられた幅4kmの帯状の中立ゾーン(無人地帯)で、全長約248km、朝鮮半島のほぼ中央を東西に通る北緯38度に沿うことから「38度線」との別称も。

一般的に「非武装地帯(DMZ)」というと朝鮮半島のものを示すが、ほかにも非武装地帯はいくつかあり、東地中海にあるキプロス島や、イスラエルとシリアの間にある「兵力引き離し線」、カシミール地方のインドとパキスタンの両実効支配地区を隔てる「停戦ライン」がその代表例に挙げられる。

朝鮮を植民地化していた日本が第2次大戦で敗北したあと、北朝鮮を旧ソ連軍、南朝鮮をアメリカ軍がそれぞれ占領。両者の担当区域を決めるため、北緯38度になぞって便宜的に引いた線が起源。

1948年、すでに東西冷戦が深刻化していた米ソ両国。旧ソ連は共産主義を標榜する朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を、アメリカは資本主義を掲げた大韓民国(韓国)をそれぞれ自分の占領地に擁立して対立、朝鮮民族同士の分断という悲劇を生み現在に至る。

1950年、朝鮮戦争が勃発し3年に及ぶ激戦の末、1953年7月に何とか休戦協定に持ち込むが、このとき南北両軍(「南」=韓国とアメリカを中心とした国連軍、「北」=北朝鮮と中国)が対峙する最前線が非武装地帯(DMZ:Demilitarized Zone)に。つまり「国境」ではなく「休戦ライン」であり、南北両朝鮮はあくまでも休戦状態で、朝鮮戦争は厳密には“継続中”というのが国際的認識。

偶発的な軍事衝突を避けるため幅4kmの非武装地帯が設定され(現在は幅300mの個所も)、武装部隊の侵入は厳禁で敷地には200万個以上もの地雷が敷設。

都羅(トラ)展望台からはっきりと見える休戦ライン。鉄条網の左が韓国領域、右側が非武装地帯で、地雷原。数百m間隔に設置されている監視所が睨みを利かす。
南侵第3トンネル(都羅)。1978年にDMZから南約4kmで発見された、北朝鮮軍が掘り進んだ「南侵トンネル」で、地下73m、長さ1635m。開戦時に奇襲に使用するようで、1時間に完全武装の将兵1万人が通過可能。トンネル内は観光コースになっており、写真のように韓国新幹線を模したトロッコで地下深く進むが、構内は撮影禁止。内部は鉱山の廃坑のようで非常に狭い。
南侵第3トンネルの入り口のレプリカ。

2018年4月、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が南北首脳会談を実施し、さらに2019年6月、金委員長との首脳会談に臨んだトランプ氏がアメリカ大統領として初の“DMZ越え”という歴史的快挙を成し遂げた「板門店(パンムンジョム)」は、ソウル近郊の軍事境界線上に存在する。

南北が実務協議を行う唯一の場所で、軍事停戦委員会本会議場が置かれ、南北両陣営による共同警備区域(JSA)として軽武装(拳銃)の兵士が警戒にあたる。なお、板門店などを含む非武装地帯見学ツアーは人気で今や有力な観光資源になっている。

都羅展望台。ソウル北西約40km、臨津江(イムジンガン)の対岸に設けられた非武装地帯見学のメッカ。韓国陸軍の新兵も頻繁に見学に訪れる。施設正面には「分断の終わり、統一の始まり」なる悲願成就のスローガンが。
展望台から北朝鮮開城(ケソン)方面を望む。中央の黒い高層ビルの隣には、2020年6月に北朝鮮が突如爆破した南北共同連絡事務所がある。また、その手前の樹木が生い茂った小高い山の頂上に見えるコンクリート製の塔状の建造物が北朝鮮側の監視所。
都羅山駅。2002年に完成した韓国最北端の鉄道駅で、線路は一応北朝鮮とつながっており、南北融和が進んだ場合は、陸路で“北”へ向かう際の玄関口となる駅。「南北統一」の悲願のシンボル的存在で、駅構内には出入国管理用の設備も完備。
都羅山駅の近く臨津江に残る鉄道橋の橋脚。1950年の朝鮮戦争勃発の際、北朝鮮軍の侵攻を食い止めるため鉄橋が爆破された。左隣は新たに架けられた鉄道橋で、すぐ先に都羅山駅が。
鉄道橋の遺構近くに展示される蒸気機関車。1950年の朝鮮戦争開戦時この付近で立ち往生したこの機関車は、ひどい機銃掃射を受けながらもなんとか原型だけはとどめている。
ソウル~都羅展望台は臨津江に沿う形で高速道路が敷かれるが、非武装地帯にほど近く北朝鮮特殊部隊の侵入を防ぐため河沿いには延々と鉄条網のフェンスが構築され物々しい。
 2020.7.28更新

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