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編集長ブログ

政治家の忘年会

2017.12.22

政治

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忘年会シーズン真っ盛り。

ほぼ毎日が会食の僕は、忘年会だろうが、新年会だろうがあまり関係ない。

365分の1日くらいにしか思っていないのだが、この時期になるとそういう誘いも多くなる。

選挙区選出の衆議院議員は若いほど大変だ。
その選出地域にもよるのだろうが、僕の知り合いの若い政治家は、忘年会と新年会合わせて200くらいの会合に顔を出さないといけないとこぼしていた。

12月と1月は土日も含めて、62日しかないのだから、200もどうして?と思われるかもしれないが、一日3つ4つの掛け持ちは当たり前で、この時期は寒いので亡くなる方も多くなる。
すると、通夜や告別式にも顔を出さなけばならないので、物理的にきつい時期になる。

しかも、忘年会の会費はただという訳にはいかない。
収賄になるわけではないが、あらぬ疑いをかけられぬように、途中退席でもきちんと支払いを済ませる。
(当たり前のことなのだが)
払い過ぎると買収を疑われるので、だいたい一つの宴会で5000円程度を支払う。
それだけで、100万円だ。

全くの下戸であれば、酒を強要されることもないのだが、多少でもお酒が飲めれば、杯を断るわけにはいかず、肝臓も悲鳴をあげると嘆いていた。
「俺の注いだ酒が飲めないのか」ということにならないように。

次の選挙のためにはこのような活動は欠かせない。

これが4回生、5回生と進んでいけば、本人でなくとも秘書が代わりに顔を出して済ます、ということも成り立ってくる。

地元のお祭りや宗教団体の集まり、各種会合などこまめに顔を出すことも重要だ。

僕自身はなんとばかげたことだと思っている。
国会議員なのだから、国会での働きを評価されるべきで、握手をしたからとか、会合に顔を出したからだとか、そんなものが最重要評価につながるのでは、国政の勉強などしている暇がなくなってしまう。
最初からその資質のない輩も多いので、そんなやつには何を求めても無駄だが。

最初は、その悪しき習慣を変えて、志に燃えて国会に登院する人達がほとんどだとは思うが、それを経て多数の当選回数を重ねなければ、そうそう国会で意見が通るわけでもない。

ようやく自分たちの意見が通るようになる頃には、若い頃のように苦労を重ねなくてもよくなっている。

そう、既得権益者になってしまうのだ。
今まで、苦労をして当選を重ねてきたのに、その制度を変えて(どのように変えるかは議論が必要で、その処方箋はまた別途書きたいと思うが)、新しい枠組みを作ると、自分たちもまた新たに苦労をしなければいけなくなるかもしれない。ということで、初めの志は頓挫することになる。

この制度で当選してきた人たちが自らのルールを作るのだから(国会は唯一の立法機関)、不利になるように変えるわけがない。結局、中々変われずにこの因習を続けることになる。

本当に変えられるのは、選挙民の投票行動によってのみだ。
有権者がそんなことに惑わされずに投票することがいかに大事か、ということになる。

ま、政治に限らず経済界でも、若い頃は改革派と言われていた人達が社長になり、そのままいつまでも代表権を外さずに居座る老害じじいがたくさんいるところをみると、権力の中枢にいたらどうも辞められないんだろうな。
人間は引き際が一番大事なのに。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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