編集長ブログ

ゴーン容疑者準抗告棄却

2019.01.10

その他

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ゴーン容疑者の弁護側準抗告を棄却して、保釈申請はまたもや通らなかった。

容疑者の段階で、身柄を長期拘束することへの批判はさておき、先日のゴーン氏の法廷での弁舌を聞いていると詭弁のような気がしてくる。

この前も書いたが、ここまでの経営者なのだから一点の曇りもないようにするべきで、グレーと言わざるを得ない。

為替のスワップ取引の件だが、ドル建ての給与を要求したが叶わなかったので、為替変動リスクを考えスワップ取引をしていた、とのこと。10億円もの報酬を貰っているのだから、多少の為替変動があろうが支障なかろう。ジンバブエドルのように、急激な貨幣価値下落があるのならともかく、円にそこまでの変動はない。年明けのように1分間で4%もの価格変動があったが、そんなことは異例中の異例。日本の会社に来ているのだから円建てで貰うことに不平を言うのはおかしい。

しかも、18億円もの損失(確定ではない)が出て追証が発生するというのは、レバレッジを掛けているからで、生活費の為にスワップ取引をしていたというのは、どんだけ贅沢しようとしてんだよ、と思う。自分の資産の中でどれだけ贅沢をしようが自由だが、自らでは賄えないから、一時的に日産に保証を肩代わりしてもらい、確定損の時には自分で清算した、と偉そうに吠えていた。

そんなこと当たり前だ。一時的にでも信用を自らのものではない(株主のもの)日産に付け替えた一瞬で特別背任の構成要件は満たす。逆に、リーマンショック後に価格が戻らなかったら、自ら清算できたかどうかはわからない。

これでは、日産の役員が会社に信用保証をしてもらい、レバレッジ取引で益を確定したら、日産には損失を与えていないから特別損失には当たらない、ということになり、誰もがこの制度を使いたくなる。会社を私物化していると言われても何らおかしくない。

また、ゴーン氏の功績を挙げる人がいるが、それは罪とは何の関係もない。確かに功労者だろうが、それで罪が相殺できるわけもない。だからこそ、それなりの報酬を貰っているのだから、貢献して当たり前だ。

恐らく明日検察は起訴をするだろう。罪状認否で認めていると保釈が認められる可能性は極めて高いが、彼は否定している。明日の裁判所の決定とその後の公判はとても興味深い。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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