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編集長ブログ

批判するなというが

2020.04.17

政治

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この非常時に批判をするな、という意見をよく耳にするが、権力者たちに対して批判がなくなれば、それこそ茶坊主ばかりが周りに群がり、権力は腐る。非難でなく、対案を示しながらの批判は大いにするべきだと思う。

現に今回の政権の悪評紛々の政策や二転三転の右往左往、閣内不一致は、「安倍一強」といわれた総理の周りに茶坊主しかいないのではないかと思われる現象だ。

悪評3点セットと言われているのは、全世帯に2枚配られる布マスクの件が一つ。聞くところによると、満を持しての策で、これをすれば国民から大うけすると本気で思っていた節がある。466億円もの費用を使ってやることかと疑問に思うのが通常の感覚だ。制限付き30万円給付も制限なし10万円給付に変更したのだから、今すぐにマスクも撤回して他に回してもらいたい。

星野源との動画勝手にコラボの件が2つめ。これも、ネットでの批判通り。優雅に紅茶飲んで、セレブ感丸出しでは逆効果。翌日、官房長官が「35万いいね、をもらっている」との記者会見での発言は、総理をかばったつもりかもしれないが、「市民感覚とずれていたのかもしれない。我々が反省すべきだ」くらい言えば良かったのではないか。益々炎上した。

我慢して家にいる人たちから見れば神経が逆撫で(僕もその一人だが)されて当然だ。進言した人間もいるようだが、その動画を上げる感覚がわからない。

 

話は少しずれるが、小池百合子都知事はその辺非常に上手い。ちなみに僕はこの人を褒めるつもりはない。オリンピックの延期が決まるまでは、3連休も含めて、コロナに関しての発言は全くしなかったくせに、延期が決まった翌日から横文字(ロックダウン、オーバーシュートなど)を並べて、会見しまくりだ。

テレビCMといい、7月の都知事選へのアピールとしか僕には見えないが、安倍政権よりもよっぽどセンスがある。何度も言うが、僕はこの人を全く支持していない。

北海道の鈴木知事や、大阪の吉村知事はいち早く、自らの失点を恐れず、その危険性を訴え、本気度がうかがえた。やり過ぎだと感じていた僕は、今の情勢を見れば反省しなければならない。

小池知事の上手さはそれだけにとどまらない。海外のようなロックダウンが日本でも行われるのではないかという誤解を生ませてしまったことは、半分はこの人のせいだと個人的に思うが、オリンピックが延期と決まる(しつこいですか)と同時に矢継ぎ早の発信で、仕事やってる感満載にしてしまった。

国が緊急事態宣言を出させたのは、この人の功績(?)だろう。出してくれない国が悪者で、一刻も早く出して欲しい都知事の構図で、世論の後押しも大きくなっていく。

緊急事態宣言を出せば、コロナの件において、国は自治体に権限を委譲するようなものだし、経済もシュリンクするので、出したくなかったのだろう。小池知事の連日のパフォーマンスによって世論に抗えなくなった政府が緊急事態宣言を出した。

2週間は経過観察と言っていたのに、昨日、全国へ緊急事態宣言を広げた。この件に関しては後程述べよう。緊急事態宣言を出したにも関わらず、国は都への口出しを止めなかった。これはいかがなものかと思う。口は出すが、カネは出さないの典型だ。

都知事はうまく利用し国を悪者にし続けた。これは正しい。都知事の言うとおりだ。しかし、オリンピック延期までは全くコロナに関しての注意喚起もなかったのに、と思うのは僕だけではないはずなのだが、このパフォーマンスが、“国は全くずれまくりで、小池知事は真剣で頼りになる”という構図を作った。その後の小池知事の発信は確かにいい事だとは思うが。

また、緊急事態宣言が出た後の記者会見も見事だ。前日の総理の会見との対比もあって、小池知事の方が非常に好感度が高い。総理が意地でもつけるであろう布マスクは小さく見た目も悪いので、評判は良くない。小池氏は手作りで大きく口を覆った。これも何故か評判がいい。世論をいち早く敏感に感じるセンスがあるのだろう。

そして、額は少なくとも協力金を出すということで、補償なしの国よりも東京都ということになる。評判の悪かった横文字は封印して感染爆発(オーバーシュート)と言う。この人、こういう意味では天才だ。

別に小池氏を褒めたいわけではなく、世間とずれまくりの政権に対してモノ申したいだけで、国民に受けたいのであれば、そういった市民感覚を入れなければ、益々乖離していくことになる。

当然全国民の声を聞き入れていては、政治はできないのは僕もこの世界に居るからよくわかるが、某財務大臣のように「東京だからできるのであって、他の道府県ではどうかね?」などと人ごとのような発言をする人間は猛省するべきだ。

 

長々となったが、悪評3点セットの3つめ、30万円給付について。当初は所得制限を設けて30万円給付が、閣議決定までしていたものを土壇場で10万円の一律給付に変わった。これについては、僕も以前から主張してきた。所得制限を設けずに早急に支給するべきだと。課税対象にすれば、累進課税により、高額所得者は後々税金で引かれるのだから。

財源については、この緊急時赤字国債を発行して対処、平時に戻れば丁寧な説明をして増税すればいい。減税も補償もなどという勝手な国民は放っておけばいい。

しかし、その前日までは自分の意見など何もないような政調会長は、一律給付はないと主張していたし、総理の記者会見でもできない理由を述べていた。10万円給付については支持するとしても、政治家たるもの朝令暮改をした理由はへ理屈ではなく、説明する必要がある。

世論を聞くことは民主主義において大事なことだが、あれだけ豪語していた政策を変えるのであれば、納得いく説明が必要。もしくは自分たちが間違っていたことを認めるべきだ。

緊急事態宣言が全国に出された。愛知県を入れることでさえ、慎重に検討して2週間の経過観察が必要と西村大臣は述べていた。その舌の根も乾かぬうちに全国に広げた。それが悪いと言っているのではない。

その時からどのように変化したのか。この状況は容易に想像できたし、専門家も指摘していたはずだ。その対象地域は感染者の出ていない岩手県も含まれている。今までの説明では齟齬が出る。

10万円給付の大義名分を作るために、この緊急事態宣言を早急に全国に広げたと思うのは僕だけか。今日の総理の記者会見で、閣議決定を覆すほどの数値や想定外が前回の記者会見からの10日間で起こったのかしっかりとした説明が必要だ。

いわれのない批判や非難はどうかと思うが、権力側に居る人間に無批判ではいつまでも好き勝手やられてしまうのだ。

 

それから、緊急事態宣言が出た後に、風俗店に行ったという高井なんちゃら国会議員については、即刻辞職してもらいたい。こんなセンスのない奴が議員をやっていることに不安を覚える。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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