編集長ブログ

次は2年後のアメリカ大統領選挙がどうなるか

2018.11.08

社会

0コメント

アメリカ合衆国では大統領選挙に出馬するために、党の予備選挙で勝たねばならない。

現職が出る場合は、知名度から言っても通常は現職が勝つ。共和党は当然トランプ氏が出るだろうし、対抗馬が出るとは思えない。今の共和党はトランプ氏に乗って保守層を取るしかなくなっているので、反トランプは以前のように出て来ないと思われる。まあ、あまりに行き過ぎて支持率が急落でもしない限りないだろう。

中間選挙は基本的に与党(大統領の党)に厳しい審判が下るので、今回は予想通り。マーケットも大方の予想通りだったということで、日米ともに株式市場は大幅に上昇した。一旦の不透明感がぬぐえたことと、これで大きな変化は起きないだろうということで。

さて、下院で過半数を奪還した民主党だが、その顔触れを見渡してみると、トランプ氏に対抗できるような知名度のある当選者が見当たらない。僕もアメリカ事情に詳しい訳ではないが、そんな気がする。僕が知っているのは、サンダース氏やバイデン氏。彼らは以前も予備選挙に出て負けている。もうすでに70代。時代と担う大統領候補にはなれないだろう。他に注目されたといえば、29歳の女性、アレクサンドリア・オカシオコルテスくらいか。彼女はウェートレスから急遽すい星のごとく候補者になり、当選まで果たしたが、大統領候補という訳にもいくまい。ここが民主党の泣き所だ。オバマ氏や、ヒラリー・クリントン氏など、初の黒人、初の女性と言った話題性も加えて、それなりに注目された当選者が居たが、次の候補者がいない。

特に、トランプ氏は過激な発言をするから、対抗馬は良くも悪くもそこに沈んでしまう。同じように反対の過激意見を言えば、益々アメリカは分断しかねない。

今回の結果をみてもわかる通り、トランプ大統領には厳しい審判が下ったのだが、彼にとっては計算済みだろう。次回のアメリカ大統領選挙で、51%を取れれば当選なのだから、今まで通り、万人に受けようとせず、自分の支持基盤である保守層を益々意識した過激な政策を続ける可能性が大きい。特に、アメリカ大統領選挙は総得票数の争いではなく、州ごとの総取り合戦だから、前回と同じように中西部を中心とした保守層へのアピールが強くなると予想される。海岸部と違い、彼らは内向きでアメリカ保護主義をよしとする。

世界を見渡しても、ブラジルでもブラジルのトランプ氏と言われた極右のボルソナロ氏が大統領に当選した。トルコのエルドアン氏も強硬派だし、ドイツでは中道のメルケル氏も党首を降りなければならず、次の首相の目はないい。英国もEUから離脱して、全世界的に保護主義化、右傾化が強まってきた。というよりも、アメリカのように真っ二つに割れてきたというべきか。あまりいい傾向とはいえない。

アメリカは大型減税などの政策が効いて、景気拡大を続けているので、トランプ大統領もこのまま半数には支持され続けるだろう。とは言え、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、新興国からの資金の逆回転など、あまりいい条件はない。支持率が下がってきたときに、トランプ大統領が自棄の政策をしないように望む。一歩間違えば経済がクラッシュする。

前のページ

アメリカ中間選挙で実質トランプ政権にノー

次のページ

今更何の議論してんだよ、消費税増税

政経電論の新着記事

  • 米大統領選でトランプ圧勝 今後の世界情勢への影響

    2024.11.25

  • 地球温暖化で収穫できる魚が変化。北海道白糠町が官民一体となったブリのブランド化への取り組み

    2024.11.6

  • 岸田外交は何を成し遂げたか

    2024.10.21

  • 今こそ求められる「社会教育士」、社会構想大学院大学が新講座を開設

    2024.10.1

  • 中国軍機による領空侵犯

    2024.9.28

佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

新着記事︎

  • 女性局フランスへ

    2023.08.04

  • シーリング効果

    2022.12.07

  • ロシア産原油輸入に上限価格設定

    2022.12.05

  • 記事一覧へ
RSSフィード