ゴーン容疑者本丸の特別背任で再逮捕
2018.12.25
経済
0コメント国際的に批判も大きいゴーン容疑者の拘留延長が裁判所に却下され、新たに特別背任で逮捕。
東京地検特捜部の執念を感じる。これで有罪に持っていけなければメンツにかかわる問題だ。
確かに欧米のように取り調べに弁護士が付くこともないし、拘留が長期に及ぶということもあるが、これは日本の司法だから仕方がない。一々外国から文句を言われる筋合いのものじゃない。内政(?政治じゃないが)干渉というものだ。
僕自身もこの制度がいいと思っている訳じゃない。しかも、東京地検特捜部なるものが存在すること自体、疑問を感じることが多々ある。捜査権を持ち、逮捕まで行い取り調べをする。通常は警察が捜査をして、逮捕するまでだ。それから検察に送りそこで起訴するかどうかを決める。それを捜査から取り調べ、起訴までを一貫して行うのはおかしな話だ。
今回は地検のあり方を論じるつもりはない。
金商法違反容疑に続き、会社法違反(特別背任)容疑だ。本丸はこちらで、金商法は別件逮捕のようなものだろう。特別背任は、損失の意志があり、その証拠固めが非常に難しいとされる。
報道によれば(この取り調べ内容などが報道されことも、誰が喋っているんだという話だが)、ゴーン容疑者は新生銀行の口座で取引をしていた投資が含み損を抱え、「すぐに追加の担保を用立てられなくて一時的に会社の信用力を借りただけで最初から戻すつもりだった。会社にロス(損害)は絶対に発生させないことを約束していた」と犯意を否定する。その証拠として、付け替えていた期間に新生銀行へ数千万円の支払いが生じたが、自身で精算したことを挙げ、「日産に実損は生じていない」と主張する。
これが事実ならちゃんちゃらおかしい。僕は法律家ではないが、僕の友人が特背で実刑判決を受けた際のことをよく覚えている。
106億円強をギャンブルで擦り、自らが代表取締役を務める会社から、総額60億円弱を借り入れた男が大親友だ。大王製紙元会長、井川意高氏。彼は特別背任の罪で実刑4年の判決を受け、収監された。もう刑期も満期を迎え、罪を償ってきた。
ゴーン氏の供述が事実なら、「直接的な損害は与えていないのだから、特別背任にはならない」というものだろう。確かにそうかもしれないが、万が一、今のようなマーケットで急激な下落により損失がもっと膨らんでいたら、自腹で清算できただろうか。出来たとしても、一時的に会社の信用力を使い、保証などさせたなら、その時点で特別背任の構成要件は出来ている。住宅ローンを借りる際の会社の信用力じゃあるまいし、損失が想定外だった場合、会社が補填する、ということだろう。
井川氏の場合も、最終的には自らの株式を売却して、借り入れを全て返済している。この場合とは同質ではないが、ゴーン氏の理屈が通るなら、井川氏の場合も実質的な金銭損失は会社に与えていないのだから、特別背任には当たらない、ということになる。
ギャンブルで使おうと、投資で使おうと私的に使ったことを、法人組織の信用力で賄おうとした時点で、代表権を持った人間がやれば特別背任だ。
李下に冠を正さず。グレーなことをしてはならない。ここまでの公人は誰が見ても真っ白だと思われる行動をするべきだ。
また、この事件が終わった後は、日産の西川氏も責任を取るつもりだろうな。犠牲者面は許されない。