日本で一番大切にしたい会社 日本理化学工業の大山会長がご逝去
2019.04.02
社会
0コメント日本で一番大切にしたい会社と言われる日本理化学工業の大山会長が亡くなった。
僕が初めてお会いしたのは10年くらい前だったか。取材でお会いしたのだが、恥ずかしながら涙が止まらなかった。現職総理の鳩山氏が訪問した事で一気に有名になったが、知的障碍者が会社の七割を占め、それでも企業体として存続し続けているのだ。
表現が適切かどうかわからないが、僕が持った大山会長の第一印象は、「仏様のような人」だ。
偽善的に社会の為だとか、綺麗ごとを並べる経営者も多いが、この人の信念は本物だ。それはここに至るまでの苦悩があるから。ここからは、僕の記憶だけでネットからの情報も入れないので、事実誤認がある可能性もあるが、鮮烈な印象だったのでそんなに間違いではないと思う。
中央大学の法学部を卒業して、家業の文房具メーカーを継がなければならなかった大山氏。法律家を目指していたので、零細の企業を継ぐことに不満もあったらしい。ある時に養護学校の先生が訪ねてきた。来年卒業の知的障碍の子を働かせて欲しい、と。余裕のある会社ではないので初めは断っていたのだが、それでも熱心に訪ねてきて、最後は「就職でなくてもいい。働くことを経験させてあげたいので、研修でいいから取って欲しい」と。その熱心さにほだされ社会貢献のつもりで引き受けた。
この養護学校の先生も素晴らしい。本当に偉い人というのはいるものだ。この先生がいなければ今の形での日本理化学工業はなかっただろう。
二人だけ二週間の約束で引き受けたのだが、その彼女たちは一心不乱に単純作業を一生懸命に繰り返した。それを見ていた従業員たちが「こんなに一生懸命に働いているのだから、我々がサポートするから働かせてあげましょうよ」と、当時専務だった大山氏に懇願した。
その時の大山氏は、社員がそこまで言うのだし、同情の気持ちもあって、今のような積極的な気持ちからではなかった。彼はまだ悩みもあったのだ。
書いていたら、もっと詳しく書きたくなってきた。大山会長のご遺志もあるので、これは明日以降も書いていこう。