日本理化学工業大山会長の遺志
2019.04.16
社会
0コメント大山会長が常々仰っていたことがある。国が障碍者一人に掛ける補助金は年間およそ500万円。40年間支給されたとすれば2億円の計算になる。
働けること(必要とされること、褒められること、人の役に立てること)が幸せであるなら、その補助金を働けることに使えないだろうか、と。いつも訴えておられた。
確かに高度な技術職は勤まらないかもしれないが、日本理化学工業では彼ら(知的障碍者)が働ける工夫がたくさんしてある。
例えばこうだ。彼らは決まった時間にきちんと通勤してくる。道路を渡って工場に通う。信号はきちんと理解できるのだ。青、黄色、赤の意味はわかっている。では、それを応用すればいいと考え、分銅や長さに色を付けた。赤は10gで黄色は20gというように。集中力は元々凄まじいので、ほとんど失敗しないで作業を繰り返す。
このように受け入れ態勢を整えた企業に国が最低賃金(年間150万円)を補助する仕組みにすれば、支出も削減できて、働くという幸せも与えられる。
高福祉国家である北欧は障碍者雇用が進んでいる。僕は大山会長からよくデンマークなどの話を聞いた。かの国には日本のような法定雇用率はない。日本は法律で障碍者を雇用しなければならない。半強制だ。それはそれで意味のあることだとは思うが、本当は自主的にすべきことなのだろう。デンマークでは、障碍者を特別な能力を持つものとして雇用が進んでいて、高給を得るものも沢山いるとか。社会全体で支えて行こうという試みがある。
最低賃金を保証したところで、経営が上手く行かなくなったらどうすると思われるかもしれない。そんなことにはならないのだ。社会が助けてくれるから。日本理化学工業は、その存在を知る機関から無償で技術供与をされたり、土地の提供を受けたり、善行には必ず社会からの手が差し伸べられる。現にこうしてその遺志を継ごうと思う人達は僕も含めてたくさんいるのだから。