編集長ブログ

経済同友会代表幹事に物申す

2020.04.18

その他

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櫻田謙吾同友会代表幹事が、現金10万円給付には電子マネーが望ましい。との発言をした。

電子マネーであれば配布の迅速感と消費喚起(貯蓄に回らない)との理由からだそうだ。

論評は後にして、経済同友会とは、経団連、日本商工会議所と並んで、経済三団体と言われるものの一つだ。以前は日経連(経団連と合併)と共に、経済四団体と言われ、その存在感も大きかったが、今ではこの程度かという感じ。

今でも経済3団体の正月のパーティーには現役総理大臣が来賓の挨拶をするほどだが、その存在意義もIT企業の台頭などでかつてほどの発言力もない。

同友会は他の二団体と違い、経済人が個人の資格で会を構成している。とは言え、そのトップには大企業の社長、会長がなるのが常だ。

櫻田氏はSOMPOホールディングスの代表取締役社長兼CEOだ。

かつてこの御仁にインタビューしたことがある。インタビュー後ある約束をしたのだが、それは履行されないままだった。彼は覚えてないだろうが、履行したくないものは最初から色よい返事をするものではない。その時から、個人的には好きではなかったのだが、今回の発言には呆れてものが言えない、という感じだ。

一万歩譲って、迅速感を言うのは譲ろう。総理が前回の緊急事態宣言時に「一律給付だと、定額級の時の経験からも3か月は掛かってしまうからできない、だから30万円の制限給付の方がいい」と発言していたのに、昨日の記者会見では迅速に行う、と言っていた。やればできるのなら、どうして10日前には無理だと言っていた(麻生財務大臣がかつてやった定額給付が3か月かかったから無理との進言をしたという)のか理解に苦しむことはおいておいて、スピード感を持って生活支援をすることが大事だ。

しかし、貯蓄に回り消費刺激にならない、との発言は今の現状から言って、感覚がズレ過ぎていると言わざるを得ない。外出自粛を推奨されている今、消費を喚起する策ではない。外に出てお金を使ってください、とでも言いたいのか?

これを未だに景気刺激策と考えているのなら(というかそう考えているのだろう)、即刻経済団体のトップなどお辞めになった方がいい。今は自粛をしてみんなが我慢している時だ。それを貯蓄に回すななど、運転手付きの車に乗って、一般庶民と触れることのない人の考えることだ。これは生活支援、コロナ対策の10万円給付なのだ。電子マネーではリテラシーの低い高齢者やネット環境にない人は使えないし、明日の家賃も心配な方々には使い勝手の悪いものになってしまう。

さて、麻生財務大臣も同様に消費に回らないから、商品券にするべきだと少し前まで発言していた。昨日もフェイスブックに書いたが、このズレようは半端ではない。お魚券やお肉券という発想も同じようなものだ。

しかも、仮にこれが景気刺激だったとしよう。

麻生氏がリーマンショック時に行った定額給付金制度(国民一人12000円、若者、高齢者は2万円)がある。これは国民に受けなかったし、どこに行ったかもわからないとの理由で、一律給付には最後まで反対したし、昨日の会見では一律ではなく手を挙げたものに配ると上から目線で話していた。総理は一律に配るとその後会見したのにである。

麻生大臣は当然内閣の一員だ。かつて内閣府が行った調査を知らないのだろうか。かつて公明党が強力に押した(賞賛してるわけじゃない。僕は学会員でもない)地域振興券と、現金給付の使い道で、その効果のアンケートを内閣府が取っている。その調査結果をご覧になったらいい。

結果、景気押上げ効果は大差ないということであった。当然である。これは、消費の先食いか後か、という違いである。子供でもわかる。カツカツで生活している人は商品券で使っても、その分を貯蓄に回すのだ。庶民の考え方の分からない人たちは本当に疲れる。

批判するのも疲れるが、あまりにもかけ離れた人たちがトップにいて、言わずにはいられない。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
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