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編集長ブログ

トリガー条項凍結

2022.04.30

その他

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まあ、こうなるとは予想していたのだが。

ロシアのウクライナ侵攻など、複合要因で原油価格の急騰が起こった。その前からインフレ傾向は世界各国で喫緊の課題ではあるが、原油は色々な原料にも使われているので、今後様々なものに価格上昇圧力が掛かる。

直接的には、まずはガソリン価格の上昇がある。

都会においては、生活費に占めるガソリン支出はそれほど高くはない(車を所持していない人も多い)が、地方はその比率が高い。
また、輸送費の高騰で物流費も上がるため、結局皺寄せは必ず来る。

ガソリンには揮発油税と地方揮発油税が掛けられている。これは、道路特定財源として、受益者負担の原則により、道路の整備などに使われてきた。

それが2009年の法改正により、道路特定財源は廃止された。にも関わらず、ガソリン税はそのまま残っている。税金はどこかから徴収しなければならないので、仕方がないとは思うが、結局屁理屈をつけて、一般財源化してしまったのだ。

今まで、僕の記憶の中で時限立法で作られた税金が廃止されたことはない。そもそも東名高速道路は建設時の借入が返済されれば、無料になるはずだったのに、全国の赤字路線を組み込んだ為に、値上げまでされる始末。首都高も値上げが続く。

僕も現実的に無料開放しろとは言わないが、約束を反故にするのは政治家の常だ。
現在のガソリン税は1リットルあたり53.8円。しかも、その内25.1円は暫定税だった。本則は32.7円だ。

暫定税は一般財源化する時に無くなったのだが、東日本大震災の復興資金のために、同額が特例税として残った。
かつて、政府税調で、石井会長が言っていた「佐藤君、受益者負担は原則。でも税金は政治だから、税金は取りやすい所から取るんだよ」と。
学者である石井先生は、歪な税金構造を理解していたが、税金とはそういうものだと、諦めもあったように思う。

そのガソリンにはトリガー条項というものがある。それは、三ヶ月間全国平均でレギュラーガソリンが1リットル160円を超えると(トリガーが)引かれるというものだ。
トリガーとは、暫定分(現在は特例分)の25.1円を徴取しないというものだ。

現在のガソリン価格は170円超。十分にこの要件を満たすのだが、自民党は屁理屈を捏ねてこのトリガーを引かないつもりなのだが、それはおかしな話だ。

いくら民主党政権の時にできた法律だとは言っても、国会で決めたものである。確かに、ガソリン以外の石油に関しては、トリガー条項を適用しても価格は下がらない。また震災特例法を改正しなければならない。しかし、もうこれを議論するつもりはない、ということらしい。一度決めた増税は、意地でも減税しない、との表れだ。政治家らしい。

その代わりに補助金を使い出した。1リットルあたり5円の補助金から始まり、35円にまで引き上げられた。手当てした財源が尽きると、すぐに別の予算をつけ、さらに期限を9月末までとした。どう考えても、参議院対策だな。わかりやすい。

ロシアのウクライナ侵攻や、円安で原油価格が高騰して、家計を直撃しているのは事実なのだが、決めたことを反故にし、選挙対策のために市場を歪めることは、いずれ国民に皺寄せがくる。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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