編集長ブログ

超低調だった参議院選挙

2019.07.22

政治

0コメント

最終的な投票率は48.8%。半分以上の有権者が投票をしなかったという国政選挙。投票は権利で義務じゃないので、行かない人の権利もあるのだが、この国は本当にどうなっているのか。

参議院は衆議院と違って、政権選択選挙ではないので、衆議院に比べて低投票率なのだが、危機的状況だな。この国は。

争点がぼけていた、ということ、自民党に任せたいというよりも、他の野党には任せる気がしない、などの理由で投票に行っても仕方がないと有権者が感じたのだろう。本当に政治には全く無関心だという有権者もいるだろうが、そういう人は政治が決めたことに関して、不平不満を言う権利もない。

結果は予想通りだ。こんなものだろう。半数割れした投票率でも民意だから、与党が過半数を押さえたということで政権としては安定した。改憲の発議が出来る3分の2という数字が大きく注目されているが、3年前の参議院が勝ちすぎた感もあったので、当然3分の2は越えなかった。自民党単独では参議院は過半数割れをした。公明党を合わせれば過半数を維持しているので、ねじれ現象にはならないし、このための連立政権なので、改めて公明党の発言力が増すことだろう。

既存野党では立憲民主党が躍進(?)した。元々数が少ないので、議席を大幅に伸ばしたということだが、それは比較対象の問題で、安倍一強には絶対に反対という人の受け皿になったとみるのが正解だろう。国民民主党では、かつての民主党を彷彿させるし、小池百合子に切られた立憲民主党の方がかつての民主党とは遠いと思われている。立憲民主党では、元アイドルが落選したことで安易に知名度だけを頼りに立候補させるという機運がしぼんでくれたら幸いだ。自民党にも不倫報道で評判を落とした元アイドルがいるが、早く落選して欲しいものだ。

大阪維新の会は関西圏以外で初めて当選者を出した。既存の野党とは一線を画していることで、一定の存在感を示した。大阪の地域政党としか見られていなかった政党が、あまりにだらしない他の野党との比較でも、これからの可能性を感じさせた。

また、僕とは政治的な信条は違うが、れいわ新撰組が比例区で2議席を確保した。かつて野党第一党だった社民党が1議席しか獲得できなかった中で、政党要件を満たしていない党が全国比例の議席を獲得したのは確か初めて。党首の山本太郎氏は特定枠2人が当選したことで落選をしたが、これで政党要件を満たした(2議席か総得票の2%を得票)。既存の野党には頼れない、という有権者の行動だ。

山本氏はエキセントリックに映るが、その行動など、どうしようもない野党は少し見らった方がいい。あくまで行動力ということで、政治的信条ではない。

NHKから国民を守る党も議席を確保した。シングルイシューでも、国政に乗り込んでそこから議論を深めればいいのだ。NHKに関しては僕も一物あるので彼らがいいかどうかは別に、公共放送についても大いに議論してもらいたい。NHKに関しては、僕の盟友、窪田氏が弊誌に寄稿してくれているので、これも参考にして欲しい。https://seikeidenron.jp/articles/11186

自民党内では、祝勝ムードで(衆議院)解散だ、4選だと、身内の論理がまた先走りしているが、先ずは不安定な経済政策と、選挙前に話題になった年金問題など、着実に国の将来を見据えて運営することを望む。また、改憲に関しては、総理も選挙期間中に口に出していたし、その自民党が勝ったのだから大いに議論をしたらいい。改憲には国民投票あるのだから、国会だけでは決められない。改悪だと思えば、投票で否決すればいい。一度くらい発議をしてもらいたいと個人的には思っている。

また、ポスト安倍と言われる宏池会を率いる岸田氏だが、地元広島で溝手顕正氏を失った。2人区に自民党が2人の候補者を出して、新人しか当選しなかったために、割を食った形だ。影響力を削がれたことと、遺恨が残るかもしれない。秋田、山形、滋賀の選挙区でも現職が破れ4人を失ったことで、ポスト安倍として、影響力の低下もある。元々なんもしないで、禅譲を狙っているようだったし、力強さがない。この人に日本を任せたいとは思わない。戦う姿勢も見せないで、総理など回ってこない。元々僕は全く期待もしていないのだが。

世間は吉本興業の問題一色で、総理の会見も、同時刻に行われた吉本興業の岡本社長の会見にほとんど取られてしまっていた。NHK以外の民法はほとんどが岡本社長の会見だった。政治的な無関心も深刻な状況だ。

 

前のページ

宮迫と田村の記者会見

次のページ

吉本興業の社長って、ほんとに経営者なの?

政経電論の新着記事

  • 地球温暖化で収穫できる魚が変化。北海道白糠町が官民一体となったブリのブランド化への取り組み

    2024.11.6

  • 岸田外交は何を成し遂げたか

    2024.10.21

  • 今こそ求められる「社会教育士」、社会構想大学院大学が新講座を開設

    2024.10.1

  • 中国軍機による領空侵犯

    2024.9.28

  • 90周年を迎えたニッカウヰスキーのこれからの挑戦と課題、そしてパイオニア精神とは【爲定一智×佐藤尊徳】

    2024.8.21

佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

新着記事︎

  • 女性局フランスへ

    2023.08.04

  • シーリング効果

    2022.12.07

  • ロシア産原油輸入に上限価格設定

    2022.12.05

  • 記事一覧へ
RSSフィード