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編集長ブログ

KDDIと楽天が提携にもビックリ

2018.11.02

ビジネス

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昨日、NTTドコモが携帯料金を下げると発表。元総務大臣の菅官房長官が再三再四、携帯電話の料金を下げるように発言していたことも影響しているのだろう。所管大臣でない官房長官が言うことではないような気もするが、総務省には大きな影響力を持っているのだから仕方ない。

昨日の前場は携帯三社と参入を表明している楽天は大幅安だった。

14時30分過ぎに、日経のニュースでKDDI(au)と楽天の提携話が出ると、楽天の株価は反転し大幅高に。700円代の年初来安値から、一気に100円以上値上がりした。KDDIは14%強の大幅安で、年初来安値を終値でも更新した。

マーケットは新規参入する楽天が、auからローミング(通信の相互乗り入れ)を受けられるということで、楽天にとっては大きなメリットだと認識されたのだろう。一方のauはライバルに手を貸したような格好だ。

楽天が携帯事業に参入すると発表して、6000億円の投資を表明したが、携帯大手の話を聞くと、6000億円は彼らの1年の設備投資額と同じ。あらたに、インフラを投資するとなると数兆円単位の金が必要。初期投資が6000億円では話にならないと言っていた。

大手三社と競業するには、初期投資を抑える為にローミングは欠かせなかった。元々はNTTドコモと協議をしていたようなので、提携がKDDIというのは意外だった。

トヨタとソフトバンクの提携も衝撃だったが、こちらはコンペジターで、携帯電話の事業ではライバル同士なので、敵に塩を送るような格好に見える。

しかし、通信事業は国の免許が必要だ。国の大方針には逆らえない。菅官房長官が再三、携帯料金を4割下げると発言するのは、彼らへの遠回しの圧力のようなものだ。元々大手よりも三割安く新規参入するという楽天への援護射撃だと僕は思っている。ローミングもどこかのキャリアがやらなければならなかったのだろう。

それに応え、ドコモが通信料金の下げを発表。KDDIの高橋社長が言うように、自分たちが提携しなくても、ドコモが提携をしただろうから、別途サービスとの親和性を考えて、逆に自分が手を上げるというのは得策かもしれない。

消費者からすれば、料金が下がるに越したことはないのだから、携帯会社のステークホルダー以外は誰も損をしない。

楽天はECにおいてはアマゾンという巨大企業がライバルだ。様々な企業と垣根を越えて提携することが今後の生き残りに必要だろうし、楽天に限らずその他の企業も、提携先にこだわっていてはグローバルに生き抜けない。

トヨタの定額乗り換えサービスなど、今までの常識が通じない世の中になってきた。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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