編集長ブログ

台湾総統選に郭台銘(テリー・ゴウ)氏が名乗り

2019.04.18

政治

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かねてより噂のあった郭台銘氏が台湾総統選に名乗りを上げた。郭氏は世界最大の電子機器受託製造サービス、鴻海精密工業の創業者だ。

日本ではシャープを傘下に収め、その名を聞いた人も多いだろう。総売り上げ19兆円の企業群を一代で作り上げた、台湾の立志伝中の人だ。世界一の自動車メーカートヨタ自動車の売り上げが約30兆円だから、鴻海の凄さがわかろう。

他国(?中国は台湾を国とは認めていないし、表向きは諸外国も)の事なので、日本人の僕がとやかく言う事でもないが、もし彼が総統に選ばれるようなことがあれば、日本にも少なからず影響があろう。誰であっても、台湾の微妙な立ち位置からも日本には間接的に影響があるのだが。

総統選は来年の一月だから、まだ先の事なのだが非常に関心度が高まった。

先ずは最大野党国民党での予備選を戦う。国民党は親中国路線をとる党だ。郭氏自身も中国とのパイプは太く、習近平国家主席とも近いとされる。

中国と台湾は表向きは対立を続けているが、経済的な結びつきは強い。中国は台湾を統一しようとしているし、一つの国としては認めていない。貿易摩擦などで米中の関係が複雑になっている時に、台湾もどのような立ち位置を取るかが問われている。中国との経済的な結びつきも捨てがたいが、あまりに近くなり過ぎると安全保障を頼りにしているアメリカにソッポを向かれかねない。

郭氏が当選する訳ではないが、報道からは国民党の候補者の中でも、一歩リードしているのではないかということ。

超ワンマン経営と言われる鴻海だが、もし総統に選ばれたとしたら、兼職は禁じられているので、董事長は辞任しなければならない。それは当然だろう。国家元首が起業のトップで居続けて良い訳がない。いつかは後継者に譲らなければならないが、今すぐにトップ交代となれば鴻海やシャープの経営にも影響がありそうだ。

アメリカのトランプ大統領も実業家からの転身だったが、独善的でそれが生かされているとは僕は思えない。そうはならないことだけは願っているが、台湾の総統選には注目だ。

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佐藤尊徳

株式会社損得舎
代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとうそんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
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