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アメリカ州兵(州軍)あめりかしゅうへい(しゅうぐん) 州兵、州軍、National Guard of the United States

米軍(連邦軍)とは異なる“郷土警備隊”

世界でも珍しい軍事組織で詳細は本誌記事「国境に連邦軍派遣でピリつく米国内の治安維持事情」を参照のこと。

連邦政府の長・大統領を最高指揮官とする正規軍の「連邦軍」に対して、「州兵」は、平時は州知事を最高指揮官とする“州独自の軍隊”。地元住民がボランティア(志願)で参加、月1回の週末と夏季2週間の訓練が義務で大半がパートタイマー、普段は別の本業に就く。

州内の災害救助やデモ・暴動の規制・鎮圧など警察・消防では手に余る場合に州知事の命令や連邦政府(大統領)の要請で動員、ベトナム戦争や湾岸戦争、アフガン・イラク戦争などにも参戦している。

16世紀以降、アメリカ“新大陸”でイギリス植民地が拡大するなか、ネイティブ・アメリカンとの紛争に備えた自警団=民兵が起源で、1916年の国防法で連邦軍の予備部隊として制式化。

兵力は陸軍州兵33.5万人、空軍州兵10.7万人の計約44.2万人(ミリタリーバランス2019年版)とかなりの規模。階級・組織編成・装備は連邦軍と同一で、陸軍はグリーンベレーなど特殊部隊も有し連邦陸軍の主力M1A2戦車も多数配備、戦闘力も連邦軍と遜色ない。

空軍州兵の存在もユニークで、連邦空軍の最新鋭機F-22ラプターステルス戦闘機も持つが、州兵の海軍、海兵隊は存在しない。

空軍州兵所属のF-22ラプターステルス戦闘機  写真:Air National Guard

2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官の手荒な逮捕で死亡、これを機に人種差別反対のデモ・暴動が全米で発生し、鎮圧のためにトランプ大統領は連邦軍の投入を模索するが、19世紀後半の民警団法(PCA)などで連邦軍による国内治安維持活動は厳しく制限され、今回も「連邦軍投入はあくまでも最後の手段で国内は州兵が対応すべき」との批判が政権内からも噴出している。

2020年6月4日、ジョージア州で発生したデモ規制のため出動した州兵 写真:The National Guard
 2020.6.19更新

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