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イージス・アショアいーじす・あしょあ Aegis Ashore

艦対空ミサイルの陸上配備型。日本の配備は白紙撤回に

アメリカ製の艦載型対空ミサイル(SAM)システム「イージス(Aegis)」の陸上配備型で、「アショア」は「陸上の」の意味。

ハワイのテスト施設で発射試験中のイージス・アショア 写真:US Navy

アメリカは冷戦時代に旧ソ連軍の強力な航空攻撃から空母艦隊を守るため、高性能な「フェーズドアレイ・レーダー」「データ処理システム」「スタンダード長距離SAM」を備えた大型軍艦「イージス艦」を1980年代半ばに開発。後に弾道ミサイル(BM)迎撃用のスタンダードSM-3SAMで、発射後に一端大気圏外(宇宙空間)で安定飛翔(ミッドコース)するBMを狙い撃つ能力も加わる。

ちなみにアメリカ陸軍が開発した類似の「THAAD(サード)」(終末高高度防衛ミサイル)は、BMが大気圏に再突入した段階を狙う点でイージスとは異なる。

一方、2010年代以降、敵対するイランや軍事的圧力を強めるロシアの牽制のため、アメリカはNATO加盟国のポーランド、ルーマニアの内陸部に、イージス艦のランニングコストや乗組員が不要で“安上がり”な「アショア」の基地を構築。

アメリカがル-マニアに構築したイージス・アショア 写真:US Navy

北朝鮮や中国に対するBM防衛強化を図る日本もこれに着目、2018年に防衛省は候補地として秋田県の陸上自衛隊新屋演習場、山口県の陸上自衛隊むつみ演習場を選定する。日本全土のミサイル防衛をカバーできるというのが理由だったが、北朝鮮のBMが米軍基地のあるグアム、ハワイに向かうコース上にあり迎撃に好都合、との説も。

しかし2020年6月、河野太郎防衛相は発射後に分離するブースターの落下位置の制御が難しく安全性が保てないことから「コストと配備時期を鑑みて配備プロセスを停止」と白紙撤回に。なお、値段は30年の運用コストも含め2基で5000億円ともいわれる。

 2020.7.13更新

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