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核兵器禁止条約かくへいききんしじょうやく

核兵器全廃を目的に多数の非保有国で採択

2017年7月7日に122の国や地域の賛成多数により採択された国際条約。「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」とも呼ばれているように、核兵器の全廃と根絶を目的としている。

平和を脅かす存在である核兵器に関して、国際社会は1970年に発効した核拡散防止条約(NPT)や、1996年に採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)など、これ以上核兵器を増やさない、つまり現状維持を念頭にルール作りを進めてきた。しかし、“不拡散”では核保有国と非保有国のギャップを埋めることはできず、そもそも核兵器の保有を認めていることになる。

核兵器禁止条約は、核兵器の非保有国が中心になって進めている条約で、アメリカや中国、ロシア、イギリス、フランスなど全核保有国が不参加な上、アメリカの核の傘の下にあるカナダやドイツなどのNATO加盟国や日本、オーストラリア、韓国なども交渉の席に着かなかった。

反対票を投じたのはNATO加盟国として唯一参加していたオランダのみで、棄権した国はシンガポールだけ。北朝鮮は当初賛成していたが、アメリカを牽制して投票には参加しなかった。

1994年から毎年、各国が連帯して核なき世界を目指すことを訴えた「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動決議案」を提案してきた日本。しかし、核兵器保有国が出席していない会議に参加するのは、「核兵器のない世界」の実現には適さず、むしろ核兵器保有国と非保有国の対立を深めるだけであると判断し、不参加を決めたと政府見解を示している。

また、核兵器禁止条約の推進には、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の貢献が大きいとされ、同団体の事務局長が来日した際、安倍晋三首相との会談を希望したが、外務省経由で日程の都合を理由に「面会できない」との回答を受け、会談は実現しなかった。

この問題だけはアメリカに媚びてはいけない

核兵器禁止条約に対する日本の立ち位置がまったくわからん。唯一の被爆国として、日本は参加しないとダメでしょう。本当にがっかりさせられた。

ほかのことは別にして、この問題に関してだけは、アメリカに媚びを売る必要はないだろうし、媚びてはいけない。政府が簡単に判断するのではなく、国民全体で議論して、参加するにしても参加しないにしても、被爆国としてのメッセージを発信しないといけない。

諸外国から見れば「日本はアメリカべったり」という印象をさらに強くしただろうね。

核兵器所有国が参加していない核兵器禁止条約は意味がないというのが日本政府の公式な理屈だけど、NPTやCTBTでは、核兵器保有国の軍事的優位は揺るがない。保有国の「自分たちはいいけどほかはダメ」という論理はずるい。そこを打破しないと核兵器はなくならない。日本の行動が期待される局面だね。

 2018.7.23更新

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