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婚姻制度こんいんせいど

夫婦生活を破綻させる意思を示す行為はNG

日本の民法では、婚姻の成立に法律上の手続を要求する「法律婚主義」を採用しており、戸籍法に基づく届出が必要。役所の戸籍担当者が婚姻届を受理した時点で婚姻が成立する。日本国憲法第24条1項で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定されている。

日本では、男性は18歳以上、女性は16歳以上で婚姻関係を結べるが、未成年者の婚姻には、父母の同意を得なければならないとしている。一夫一婦制を採用して重婚を禁止し、女性が再婚する場合、生まれた子どもの父親が不明にならないように、前婚の解消または取消しの日から100日間は再婚禁止期間となっている。

民法では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(752条)」と規定しており、正当な理由なく同居しない配偶者に対して同居するよう請求できる。正当な理由なく同居・協力・扶助義務を拒むと、夫婦生活を破綻させる意思を示す「悪意の遺棄」として離婚原因となる。

ただし、婚姻関係が完全に破綻している場合には、同居の請求は認められないとなっているほか、病気による入院、出稼ぎや単身赴任、家庭内暴力など同居が困難な事情がある場合も同居義務違反とはならない。

夫婦が財産について契約を交わす場合は、婚姻の届出までに登記しなければならず、婚姻の届出後は、契約内容を変更することはできないとされている。日本では、諸外国に比べ、婚前契約は少ないといわれている。

契約することで互いに責任も権利も発生する

国に結婚を認めてもらい、結婚生活に伴うもろもろの権利を与えてもらえるのが婚姻制度。2人の人間が共同生活を営み、自分たちの子どもを養育するにあたって、互いに対して拘束力を持つ契約を交わさないと、問題が発生したときに相手に対して権利を主張できない。

婚姻制度がなければ、個別に「浮気はしません」「財産は2人の共有です」といった個別の契約を交わさなければならず、現実的に考えて富豪でもない限り弁護士をつけて契約するのは無理。それを国が一枚の契約書にまとめました、というのが婚姻届けでしょう。

逆説的な話になるけど、契約がなくても問題のなく結婚生活を続けられる、あるいは結婚を解消しても互いに自分の力で生きていけるなら、婚姻制度を活用する必要はない。離婚する際や、離婚後の生活を考えたときに、婚姻制度は大きな意味を持ってくるんだと思うよ。

権利に対する義務も明記されているから、「夫婦は同居しなければならない」なんて国に言われるようなことではないと思うけど、パートナーが家庭に寄りつかなくなって生活が脅かされたとき、婚姻制度を活用していないと「帰ってきてください」という権利はないんだもんね。

 2018.5.14更新

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