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IPOあいぴーおー Initial Public Offering、新規公開株、新規上場株式

上場で得られるのは資金・知名度・社会的信用

未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場すること。新たに株式が公募されたり、上場前に株主が保有している株式が売り出されたりする。企業は上場することにより、直接、金融市場から広く資金調達が可能となるほか、上場で知名度、社会的な信用を高めることができる。

他方、投資家から見たIPOは“儲かる”といわれている。公募価格(売出価格)が割安に設定されることが多く、新興企業など歴史の浅い企業の場合、今後の業務急拡大も期待できる。儲かるとされているだけに、IPOは抽選になることが大半で、当選確率は小型IPOで0.1~0.5%程度、大型IPOで5~10%程度ともいわれている。

一般にIPO株は、指定証券会社ごとに購入権が分配され、最も多く分配される証券会社は「主幹事」と呼ばれる。自社に分配されたIPO株のうち一定の株は、担当者が普段から付き合いのある顧客に優先的に購入できるよう取り計らわれるとか。この「裁量配分」と呼ばれる株以外は一般顧客へ販売される。

大切なのは何のために上場するのかということ

経営者の立場でいえば、IPOをすれば個人保証が外れるんだよね。上場前は、会社が資金を借り入れるときに、経営者が個人的に保証人となるケースがほとんど。上場すれば個人の借金が会社の借入金になったみたいなものだから、経営者からすれば、心理的負担が少なくなるだろう。

一方、会社が自分だけのものではなくなるんだから、責任はより重たくなる。人のお金で会社を経営しているわけだから。でも、ホッと一息つけるというのがリアルな感情だと思うよ。

ベンチャー企業の経営者は、よく「上場を目指す!」と言うけど、大切なのは上場することではなくて、何のために上場するのか? 創業者利益を享受したいのか、大きな金額の資金調達を可能にして、新たな成長戦略を実現させるのか。社会的な信用力を高めて、社員の福利厚生に寄与するのか。そこが大事だよね。

上場を維持するにはコストがかかり、スピーディーな経営判断ができなくなり、成長が鈍るなどデメリットもある。だから、上場企業の中にはMBO(Management Buyout/経営陣買収)を実施して非上場にする企業もある。一口に上場すれば良いというものでもないから、自分たちの会社にとってどちらがベストか考えてIPOをしてほしい。

 2018.4.19更新

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