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バブルばぶる

1985年9月のプラザ合意をきっかけに起きた空前の好景気のこと。

当時、行き過ぎたドル高を回避するため、日・米・英・独・仏の先進5国はドル安を進めるための為替介入の協調に合意。

ドル高修正によって起きた急激な円高は輸出減少を招き、日本の景気は低迷。そこで政府は内需主導型の経済成長を促すために公共投資拡大政策をとり、日銀も段階的に公定歩合を引き下げ長期的な金融緩和を続けた。

その結果、景気は回復。さらに、企業の内部留保は株式・土地などへの投機にまわり土地価格が高騰、モノの値段や賃金も上がり、景気が活性化していった。1989年12月29日には、日経平均株価史上最高値38957円44銭を付けた。

当時の日本では「地価は永遠に上がり続ける」という“土地神話”が信じられており、マンションブームや「地上げ」、「財テク」といった言葉が流行り、投機熱は個人にまで及んだ。好景気は雇用にも好影響を与え、有効求人倍率は1991年に1.40倍を記録。この時代に大量に採用された社員を指して「バブル就職世代」ともいわれている。

1989年、日銀は過熱した景気を抑制するために金融引き締め政策に転じ、1990年8月には公定歩合は6%にまで引き上げられた。ピークを迎えた株価は1990年の年明けとともに下がりはじめ、9月には2万円付近にまで下落。

さらに、大蔵省(当時)が土地価格の高騰を抑制するため、3月に不動産融資総量規制を発動させると、住宅金融専門会社(住専)に資金が集中し、不良債権問題につながっていった。都心の地価は1991年には1985年の4~5割も下落。

ついに日本を世界一の経済大国に押し上げた好景気は終焉を迎えることになる。その後、日本は「失われた20年」と呼ばれる低成長期に突入。

このように、不動産や株式などが投機によって高騰し、時価資産価格が実体経済から大幅にかけ離れる現象は、中身の無い“泡”に例え「バブル経済」と呼ばれている。

平成バブルが弾けるまで、戦後一貫して日本の地価は上がり続けた。今と違って、国力は右肩上がりだし、人口ピラミッドのバランスも良かったし、未来は希望にあふれていた。

だから、「土地は永遠に値上がりを続ける」なんて本気で信じられたんだろうね。バブル経済の発生自体はしょうがない。市場というのは、バブルの発生と崩壊を繰り返しながら進むものだから。

問題はバブルの処理の仕方、いわゆる“ソフトランディング”ができるかどうか。平成バブルは、絶頂期に日銀の三重野康総裁が、金融引き締めに走って、株価と地価が暴落して急激な資金の逆流を起こしてしまったのが要因だとされている。

そもそも、金融政策でソフトランディングなんて無理な話なんだよ。金融政策でお金の流れをコントロールしようというのは、夢物語。

バブル経済が発生しているときに金融引き締めを行なったら、みんな我先に逃げるからバブルは破裂する。 社会主義的な日本の資本市場を健全化するために、バブルの発生と崩壊は経験しなければならないプロセスだったんだと思う。

バブル期を経て、日本はようやく成熟した資本市場を構築できるようになったんじゃないのかな。

 2018.1.31更新

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