PKOぴーけーおー 国際連合平和維持活動、平和維持活動、PeaceKeeping Operation
試行錯誤しながら発展し続ける国際平和維持・回復の手段
国際連合が紛争地域の事態の収束を図る目的で、平和の維持・回復のために行う活動。
「主要な紛争当事者の受け入れ同意」「不偏性」「自衛及び任務の防衛以外の実力の不行使」を原則に、PKOは紛争当事者の間に立ち、停戦監視や復興支援を行うのが目的とされてきた。しかし、冷戦以降、国際紛争が国家間から国内紛争へ変わっていったことから、PKOの活動内容に「文民の保護」が含まれるようになるなど、最近は積極的な実力行使を求められるようになっている。
PKO派遣の決定と具体的なミッションは、国連安全保障理事会で決定され、安保理理事国15カ国のうち9カ国の賛成が必要。常任理事国による拒否権も認められている。平和維持活動局(DPKO)が事務総長に代わってミッションの指揮と管理を行い、現場での指揮権は参加各国の政府にある。
PKO自体が紛争の当事者になることを避けるため、派遣された各国の軍隊は、自国の戦闘服に国連紋章が入った水色のベレー帽やヘルメットをかぶり、派遣車両を白に塗って国連の略称である「UN」を記すなど、PKO部隊あることを明確にさせる。
日本では、1992年6月に成立したPKO協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)に基づき、第2次アンゴラ監視団に3名の選挙監視要員からなるアンゴラ国際平和協力隊を派遣したのがはじまり。その後は、カンボジア、東ティモールなどに自衛隊を派遣している。
日本がPKOに参加するためには、PKO協力法に示されている基本方針である「参加5原則」を満たす必要がある。しかし、2012年1月~2017年5月まで自衛隊が派遣されていた南スーダンのPKOでは、防衛省が現地の治安を不安視するなか、PKO参加を外交カードとしたい外務省に押し切られる形で派遣が決定し、参加5原則を満たしていなかったと指摘する声もある。
実際、独立したばかりの南スーダンでは部族間の抗争も頻発しており、「これまでの自衛隊のPKO活動の中でも最も過酷」との報道もあった。
金を出すだけでは国際社会は評価しない
戦闘地域か非戦闘地域かが、PKO派遣に関して焦点になっていることが多いけど、PKOで派遣されるところは、どこも戦闘地域みたいなものでしょう。
戦争・内乱が終わった後の“平和維持活動”というのが建前だろうが、危険がはらんでいるから自衛隊が出ていくわけで、安全な地域なら民間のNGOが行けば済む。だから、戦闘地域か否かで議論しているのを見ていると、焦点がズレていないかと思う。
2014年の閣議決定で容認されるまで、自衛隊には集団的自衛権が認められていなかったから、他国の軍隊が攻撃されていても、助けることができなかった。目の前で人が殴られているのに助けてはいけない、と言っているようなもの。おかしな話だよね。そればかりか、自衛隊が攻撃を受けたときも、他国の軍隊に守ってもらうことになっていた。憲法9条を含めた国内の法整備をちゃんと進める必要を感じる。
クウェートに侵攻したイラクを相手に多国籍軍が戦った湾岸戦争のとき、日本は130億ドルもの支出をした。世界中のどの国よりも戦費を負担したのに、「金だけ出す」と国際社会から批判された。国連中心主義の考えを持っている当時の自民党の小沢一郎幹事長のもと、湾岸戦争で批判された苦い経験をきっかけに、PKO参加を目指して動きはじめた。
当時はまだ「自衛隊は憲法違反」という風潮もあって、自衛隊の海外派遣はハードルが高かったけど、1992年の“PKO国会”で法律が成立し、その年の9月に国際連合カンボジア暫定機構(UNTAC)へ自衛隊が派遣された。とはいえ、派遣される隊員は、自衛のための最小限度の武器の携帯が許されているだけだった。2001年に法改正されて、ようやく国連平和維持軍(PKF)への参加が認められるようになったけど。