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防衛省ぼうえいしょう

国の安全保障のために自衛隊を管理・運用

日本の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的に自衛隊(陸上・海上・航空)の管理、運営する行政機関。

前身の防衛庁は内閣府の外局だったが、2006年9月に成立した安倍内閣が、防衛省設置法案を臨時国会に提出し、2007年1月9日に独立した11番目の省として政策官庁に昇格。これにより防衛省は、他省と同様に所管事項に関する法案を独自に作成し、閣議を経て国会に提出できるようになった。

防衛省に昇格後も、シビリアンコントロールの立場から自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣で変わりなく、防衛大臣が命令できるのは警備行動まで。防衛出動や治安出動は首相が命令する。省昇格を機に、それまで付随的任務とされていた、国際連合のPKO(平和維持活動)など自衛隊の国際平和協力業務は、「わが国の防衛」と並ぶ本来任務に格上げされた。

防衛省において防衛大臣を補佐する機関には、文官として“政策的補佐”をする大臣官房と各局からなる内部部局と、自衛官(武官)が“軍事専門的補佐”をする統合・陸上・海上・航空の各幕僚監部(特別の機関)がある。統合幕僚監部は防衛大臣に対する補佐に加え、陸・海・空自衛隊の統合運用(統合作戦)を担い、自衛官の最高位である統合幕僚長が指揮を取る。

命を張る現場を知った上での管理・運営を

防衛省」と「自衛隊」は、ほとんど一緒。防衛省設置法に基づいた国の行政機関としての側面からみると「防衛省」、国防などの職務を担う軍事的組織としての側面からのみると「自衛隊」ということになる。

ただ特別職の国家公務員である防衛省の職員は、“背広組”と“制服組”に分かれていて、人事面で見れば防衛省自衛隊は組織として別。採用も別個に行っている。防衛省の上層部は、いわゆるキャリア官僚だ。

第2次世界大戦のときに、政府が軍部をコントロールできなかった反省から、シビリアンコントロールの立場を徹底しようとしている。

現場で働く制服組の人は、命を張って頑張っている。背広組の人たちは、そんな現場の人たちの努力を知った上で自衛隊を管理・運営しないと、現場と管理の間で温度差ができてしまう。

南スーダン派遣の日報に関する不祥事は、まさに現場が防衛省の幹部を信用していないから起こったのではないかな。シビリアンコントロールうんぬんではなく、もっと単純に組織のガバナンスがしっかりしていないことを物語っている。

 2018.5.14更新

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