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MMTえむえむてぃ 現代貨幣理論、現代金融理論、Modern Money Theory

際限のない国債発行を容認する、異端の経済理論

「独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、デフォルト(債務不履行)に陥ることなく、政府債務残高をどれだけ増加させても問題ない」という経済理論。言い換えれば「政府は財政悪化など気にせず、国債を発行してどんどんお金を使うべきだ。財政破綻することはなく、インフレも生じない」という考え方だ。

ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授など数人の学者が30年近くをかけて構築してきた理論で、1990年代に最初に提唱された。その後、“異端の経済理論”としてお蔵入りしたように見えたが、2020年11月のアメリカ大統領選を控え再浮上。「富の偏在と格差の拡大」が大統領選の争点の一つになっているためだ。

史上最年少の下院議員アレクサンドリア・オカシオコルテス氏をはじめ、米民主党内にはMMTによる財政出動で貧困解消を目指すべきとの意見が数多く聞かれる。

これに対し、FRB(米連邦準備理事会)のジェローム・パウエル議長は「自国通貨での借り入れが可能な国にとって赤字は問題ないという人もいるが、私は間違っていると思う」と明確に反対している。また、ハーバード大のケネス・ロゴフ教授は、「経済理論とすら呼べない」と酷評しており、ローレンス・サマーズ元米財務長官にいたってはMMTが国債の無限増発を容認していることから「フリーランチ」とまでこき下ろしている。

翻って、日本におけるMMTの評価はどうか。日銀の黒田東彦総裁は「財政赤字や債務残高を考慮しない考え方は極端な主張で、なかなか受け入れられない」と否定的で、麻生太郎副総理兼財務相は「財政規律がなくなる」と警戒感を示している。しかし、国債を大量発行し、GDPの2倍を超す赤字を抱えながら、異次元緩和で国債の大量購入を続ける日本は、あたかもMMTを実施している先駆者のようにも映る。実際、ケルトン教授は日本を「成功例」として挙げている。

はたしてMMTは亡国の経済理論なのか、それとも救国の経済理論なのか、皮肉にもその答えは日本の行く末によって証明されるかもしれない。

 2020.08.12更新

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