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スチュワードシップ・コードすちゅわーどしっぷ・こーど

リーマン・ショックを繰り返さないための指針

2010年に、イギリスで金融機関を中心とした機関投資家のあるべき姿を規定したガイダンス。顧客から資産を預かる立場にある機関投資家だが、投資先企業の経営監視などコーポレート・ガバナンス(企業統治)への取り組みが不十分であったことが、リーマン・ショックによる金融危機を深刻化させたとの反省から、顧客が安心して資産を預けられるようにガイダンスを明確にした。

日本ではイギリスを参考に、金融庁が2014年に日本版スチュワードシップ・コード(「責任ある機関投資家」の諸原則)を制定し公表。投資先企業の企業価値を向上し、受益者のリターンを最大化する狙いの下、日本版スチュワードシップ・コードを受け入れた機関投資家は7つの原則を順守する。各原則には具体的な指針も定義。法的拘束力のない自主規制ではあるが、順守しないのであれば、その理由を説明するよう求めている。

2018年4月現在、信託銀行、投信・投資顧問会社、生命保険会社、損害保険会社、年金基金など227の機関投資家が、日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明している。

企業が襟を正して経営に打ち込むようになった

「スチュワードシップ・コード」と「コーポレートガバナンス・コード」は、どちらも企業に対して「経営をしっかりとしなさい」というメッセージ。これまで年金も生保も、人の資産を預かりながら「物言わぬ株主」だった。しかし、他人の財産を預かっている以上、重大な責任が発生しているんだから、企業経営に責任をもって預かり資産の安全な運用をしなければならない。

株主配当に対する責任を全うしなければならないし、無能な取締役は退任させられるし、機関投資家がスチュワードシップ・コードを受け入れたことで、企業は襟を正して経営に打ち込むようになったんじゃないのかな。緊張感を持った企業経営は、歓迎すべきでしょう。

2017年末に東芝が6000億の増資をしたけど、引受先にアクティビストと呼ばれている投資ファンドが名を連ねていた。今後、東芝は、彼らの意見に耳を傾けながら、収益性を意識して経営の舵取りをすることになる。あの伝統ある“東芝”がどんな会社に生まれかわるのか、注視していきたいね。

 2018.5.14更新

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