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シリア内戦しりあないせん シリア騒乱、シリア危機

アサド政権と反政府軍の戦いを発端に、アメリカ、ロシア、中国、イスラエルなどの諸国を巻き込みシリア全土で繰り広げられている戦い。

1970年から40年以上にわたってアサド家による独裁政治が続いていたシリアにおいて、民主化運動「アラブの春」に影響を受けた反政府デモが各地に広がり、それを武力弾圧しようとしたアサド政権と反政府軍の間で戦いが勃発。混乱に乗じて、シリア北部のクルド人勢力やイスラム過激派組織「イスラム国」なども参戦し、拡大していった。

さらに、アサド政権の打倒と「イスラム国」掃討を画策したアメリカやフランスをはじめとする多国籍軍や、ロシア、イランもシリア領内に空爆を行うなど、アサド政権を応援する国と反政府軍を応援する国が入り乱れ泥沼化、代理戦争の様相を呈していく。

トルコ、サウジアラビア、カタールなど周辺諸国も、アサド政権打倒のために反政府武装勢力への資金援助、武器付与などの支援を通じ内戦に介入している。

国連難民高等弁務官事務所の推計によると、2017年までに国内で避難生活を送る人々は約630万人にのぼり、500万人以上が国外に逃れた。

ロシアとアメリカが首を突っ込むから複雑な構図になってしまった。ベトナム戦争がアメリカとソ連の代理戦争だったのと同じで、内戦を舞台に国際戦争になっている。それに巻き込まれたシリアの市民はいい迷惑だよ。世界の国を駒にしてオセロゲームをやっているんだよ、アメリカやロシアは。

アメリカは、シリアがアフガニスタンやイラクみたいにテロの温床になるのを懸念しているんだろう。だから、口出しする。

ロシアは親露のアサド大統領を守りたい。石油やパイプラインの問題などで、トルコやサウジアラビアも静観していられない。民族独立を目指すクルド人にとっては、大きなチャンス。

みんなそれぞれ違う思惑を持って、シリア内戦にかかわっている。中東に欧米の論理を押しつけても、イラクみたいに混乱を招くだけだから、アメリカやロシアの思惑通りには展開しないと思うけどね。

権力を握っていたアサド家は、イスラム教アラウィー派。スンニ派が大勢を占める国で、いわばマイノリティーが支配していた。これは、フセイン政権時代のイラクと同じ構図。

民主主義の原則から言えば、マイノリティーが権力を握るのはありえない。だから、支配するためには弾圧することもあり、市民は民主化への思いを募らせるんだろうね。でも、マジョリティーが国を支配しても、ミャンマーみたいにマイノリティーへの迫害が起こるだろうから、難しい問題だ。

 2018.2.26更新

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