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一帯一路いったいいちろ OBOR

中国が形成を目指す経済圏構想。中国を起点に、アジア~中東~アフリカ東岸~ヨーロッパを、陸路の「一帯」(シルクロード経済ベルト)と、海路の「一路」(21世紀海上シルクロード)で結び、ゆるやかな経済協力関係を構築するという国家的戦略。この経済圏に含まれる国は約60カ国。域内の総人口は約45億人で、世界人口の約6割に相当する。

習近平国家主席は、構想実現に向けて2014年に中国の政策判断で投資先を決められる4.5規模のファンド「シルクロード基金」を創設。また、2017年5月には、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)や中国国家開発銀行との連携を念頭に、29カ国の首脳と130余りの国の代表団の前で、約14兆円の追加拠出や融資枠の拡大などを約束した。

中国・パキスタン経済回廊(CPEC)をはじめ、高速道路、鉄道、港湾などの交通インフラ関連は、すでに各地で大規模なプロジェクトが着工している。

中国の覇権戦略だろうね。中国が世界経済の主導権を握るのは、もはや仕方がない。でも、「一帯一路」のような多くの国や地域を域内に抱える経済圏を作るなら、中国だけが利するような形にしてはいけない。

中国側の視点に立てば、ヨーロッパを巻き込んでいるのは正解。ヨーロッパがアメリカと距離を置き、中国と密接な関係を築けば、アメリカの覇権は危うくなる。

ヨーロッパ側からすれば、大西洋を挟むアメリカとは違って中国は地続きなんだよね。だから、中国の伸張は無視できない問題。

「欧米」と一括りにされることが多いけど、ヨーロッパとアメリカはスタンスが違う。アメリカを見限って中国と組むなんてこともあり得ない話ではない。ただ、中国が最終的に何を目指しているのか、現段階ではいまいちはっきりしない。

EUみたいな通貨統合も視野に入れた共同経済圏の確立を目指しているのか、TPPのような包括的な市場の連携を目指しているのか、はたまた、域内の国々を中国に組み入れようとしているのか……。

日本としては、まず中国が描いている「一帯一路」の未来像を捉えることだろうね。

 2018.2.26更新

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