証人喚問しょうにんかんもん
証人の嘘は罪に問われるが、真実解明にはほど遠い
国会が不正や疑惑の解明のため、国政調査権を使って強制的に証人に出頭を命じ、真実を問いただすこと。議院証言法では、証人が嘘の証言をした場合は、偽証罪に問われ3カ月以上10年以下の懲役、正当な理由のない証言拒否も1年以下の禁錮または10万円以下の罰金など、厳しい刑罰が規定されている。
1976年のロッキード事件に関して行われた証人喚問で「人権無視」の批判が起こり、1988年に、証人に補佐人をつけることや尋問中のテレビ中継を許可しないなどの改正が行われた。しかし、1998年の議院証言法改正で、「証人は意見を述べるにあたって、理由の説明を要しない」などの条件をつけて撮影、録音が許可されるようになった。
森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題をはじめ、ロッキード事件、リクルート事件(1988年)、東京佐川急便事件(1992年)など、政治家を巻き込んだスキャンダルが明るみに出るたびに証人喚問は行われてきた。しかし、国会議員には検事のような強制的な捜査権がなく、野党の尋問は新聞やテレビの報道に頼ったおざなりの質問が大半で、喚問を受ける証人の発言も「記憶にない」など真相究明にはほど遠いため、証人喚問をしても政治不信が強まるという指摘もある。
なお、似たものに「参考人招致」があるが、出頭や証言は任意で、例え嘘をついても偽証罪には問われない点で異なる。
証人喚問で話すことにメリットがない
財務省の決裁文書改ざんの問題で、佐川元国税庁長官が証人喚問を受けたけど、裁判の場でなら、真実を語ることで自らの刑を免れたり軽減されたりする可能性があるから、真実を話すメリットがある。でも、証人喚問は裁判ではないから、話すことに何ひとつ良いことがないんだよね。
そうなると、「何も話さない」という結果になるのは明白。野党のパフォーマンスになって終わり。しかも、今は野党が無能だから、証人喚問が行われるぐらい重大事だという緊張感さえない。佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」という理由で証言をことごとく拒否したけれども、「刑事訴追の恐れがある」という時点でアウトだろ! 野党はそこを追及することがなぜできない。
「参考人招致」は証人喚問と違って偽証罪が適用されないとか言っているけど、後々のことを考え、全体的な視点に立脚すれば、偽証なんてするわけがない。
そもそも証人喚問の意味がないないんだよ、現行のやり方では。どの事件においても、証人喚問ではあたかも被疑者のように映る。それが人権問題だという指摘もある。とにかく、もう少し真相究明になるような制度にしてくれないかな。