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銃規制じゅうきせい

武器保有の権利をめぐる論争

各国の銃規制は、国の歴史を反映してまちまちだ。日本は銃規制が厳しい国とされている。銃砲刀剣類所持等取締法によって取り締まられ、職務や訓練、 狩猟などを除く場合において、金属性の弾丸を発射するいかなる装備も所持を禁じられている。

銃規制の問題が深刻なのはアメリカ 。アメリカ合衆国憲法修正第2条にある一節「人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」の解釈をめぐって、長く論争を繰り返してきた。

憲法が保障する“武装権”を、州の権利であって個人に銃所持を認めたものではないとする「集団的権利説」を唱える銃規制推進派と、個人が武装する権利であるとする「個人的権利説」を主張する銃規制反対派が長く対立。

そんななか、2008年7月、連邦最高裁判所は個人的権利説を採用する判決を示した。2010年6月には、事実上、銃の所持が禁止の状態であったシカゴ市 に対し、憲法違反であるという司法判断も下されている。

アメリカの銃所持は1970年代に増加し、殺人の件数も増えて、殺人の大部分が銃によるものであった。1980年代後半から銃規制運動が高まりを見せ、1993年にブレイディ法が制定され、販売店に銃の購入者の身元調査を義務化し、重罪の前科がある者、精神病者、麻薬中毒者、未成年者などへの販売を禁止した。

しかし、ブレイディ法は販売店に対する規制にすぎず、銃の所持については引き続き州法で規制される。個人が所有する銃に一定の規制を課する州は多いが、銃の所有を禁止する州はない。

銃規制には賛成だが所持はする

アメリカの永遠のテーマ。銃の乱射事件が起きるたびに、簡単に銃が手に入るからだという議論が巻き起こるよね。でも、3億丁ともいわれている銃が出回っているアメリカで、自らの身を護るため銃の保持を放棄せよ、というには「刀狩り」でもして、すべての銃を廃棄しないと無理だろう。

核兵器の全廃と一緒で、みんなが一斉に放棄しないと成り立たない。とはいえ、そんなことは現実的には不可能だよ。

「バンプ・ストック」みたいな連射機能を付けさせないように規制して、銃のスペックを落として、危険度を軽減するのは、一つのアイデアだろうね。そのためには、NRA(全米ライフル協会)を潰さないと。あの団体があるから銃規制が進まない側面もある。

僕がアメリカ人だったら、銃規制に賛成する。でも、身を守るために銃を所持するし、銃規制ができて社会から銃がなくならない限り、手放さない。自分の身は自分で守るお国柄だから、警察だってどれだけ頼りになるかわからない。あんなに広大な国土を警察だけで守れるとも思わないからね。

 2018.4.23更新

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