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1票の格差いっぴょうのかくさ

有権者が持つ1票に価値の格差が生じる現象。1人の議員が当選するために必要な得票数が、選挙区によって異なるのが原因。選挙区の有権者数が少ないほど1票の価値は増し、多数になるほど価値が下がる。選挙区の区割りや議員定数の変更などの調整を通じた是正が求められている。

国民には一人1票の平等な権利が憲法で保障されているため、1票に格差が生じるのは憲法が保障する法の下の平等に反すると、選挙の無効を求める訴訟が繰り返されてきた。しかし、最高裁判所は、衆院選で3倍、参院選で6倍以上など著しい格差が生じた場合は違憲もしくは違憲状態であるとの判断を示してきたが、衆議院選挙については2009年から2014年まで3回連続で「違憲状態」としている。

これを受け、2016年5月の国会で衆議院選挙制度改革関連法が成立。衆議院の定数を10議席減らすとともに、2020年以降の国税調査を基に、議員定数を人口に比例して配分するアダムズ方式の導入が決まった。

厳密に言えば、1票の格差があってはいけない。しかし、100%ネット投票にでもなれば解消できるかもしれないが、現実的ではない。だからといってそのままにしておくと、法の下の平等が認められている憲法に違反するし、1票の格差が広がれば、今度は都市部の声が国政に届かない。一方、人口比で選挙区割りをすると、都市部にばかり議員が集中し、それ以外の地域の声が国政に反映されないという面もある。

最高裁が立法や行政への配慮で強く“違憲”とは言わずに、“違憲状態”というオブラートに包んだ表現で立法府に対して是正を促しているけど、政治家は最高裁が政治に強く介入しないのを知っているから、安心しきって1票の格差の問題に真剣に取り組もうとしない。

 2018.1.16更新

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