アラブの春あらぶのはる
チュニジアで起こったジャスミン革命を発端に、2010年末から11年にかけて北アフリカ、中東諸国に広がった民主化運動。
2010年12月17日、チュニジアで青果商の青年が、度重なる当局の取り締まりに憤慨し、焼身自殺をした。これに怒った市民の抗議デモを、衛星放送アル・ジャジーラやネットニュースが報道すると、若者や知識層を中心とする民衆がSNSを使って情報交換し、政権打倒の全国デモへと拡大。
デモは次第に暴動化し、治安部隊との衝突はエスカレート。政府も内部崩壊を起こし、2011年1月14日、ベンアリ大統領はサウジアラビアに亡命、23年間続いた独裁政権は終わりを告げた。
チュニジアでの民主化運動であるジャスミン革命は、次々と中東・北アフリカの諸国に広がり、エジプトのムバラク政権、リビアのカダフィ政権といった長期独裁支配を次々と瓦解させていく。イエメンやバーレーンでも動揺が続いたほか、ヨルダン、モロッコ、サウジアラビア、クウェート、西サハラなどでも市民による街頭運動が起こり、警察や軍との衝突も見られた。
武力を用いず、一般市民を中心とした一連の民主化運動は中東における民主化=春の到来に思われたが、指導者のいないムーブメントは運動後の国家像を持たず、他国の無遠慮な介入をきっかけに対立が暴力化すると、その末路として2012年にシリアを内戦状態に陥れることになった。
長期政権は腐敗する。独裁体制ではなくて、同じ人間、一族が権力の座に長く居座るのが問題なんだ。イラクのフセイン、エジプトのムバラク、ジンバブエのムカベ、みんなそれぞれの国では英雄だった人でしょう。長く権力を持ちすぎてみんな腐敗し崩壊していくんだよ。
一部の支配層だけが贅沢な生活を享受し、多くの一般市民が弾圧され経済的に困窮していれば、立ち上がるのは必然だよね。
「アラブの春」で一番痛感したのは、SNSの力。ネットで拡散したからジャスミン革命は成し遂げられた。さらに、その成果をネットで知った近隣諸国の市民たちも、チュニジアと同じ行動に出た。
ドミノ倒しのように民主化の波が中東を駆け抜け、果てはシリア内戦まで引き起こした。 世界中の為政者、特に独裁国家のトップは気が気じゃないだろうね、次は自分たちの番じゃないかと。
民主化をすべて是とはしないが、押しつけられた民主主義ではなく、市民が自らの手で勝ち取った権利は素晴らしいと思う。