米朝首脳会談べいちょうしゅのうかいだん
CVID(完全な非核化)は約束されず
2018年6月12日、シンガポールで史上初となる米朝首脳会議が行われた。午前9時(日本時間10時)に始まった会談の冒頭、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、握手を交わし笑顔で終始友好的なムードを演出。両首脳は通訳だけを交えて40分ほどにわたり1対1の会談を行った後、他の高官らも同席する拡大会合に入った。
米朝両国は、朝鮮半島の「完全な非核化」を目指すことで合意、米政府は北朝鮮に安全保障を提供することを確約し、両首脳は共同声明に署名した。
日米韓が求める北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」については言及されず、非核化に向けた具体的なスケジュールや方策も定めらなかった今回の米朝首脳会談について、象徴的な意味合いしかなく具体的な成果はなかったと指摘する専門家もいる。
会談終了後に開かれた記者会見で、トランプ大統領は北朝鮮の非核化をめぐる交渉を促進するため、米韓軍事演習を中止する意向を表明。日本人拉致問題については、北朝鮮が対応する方針を示唆したと語った。
「体制保証」を得た北朝鮮・金正恩委員長の勝ち
予想通りの結果。金正恩委員長をバカだと思っていたけど、ところがどっこい。うまく立ち回ったよね。アメリカも韓国も手玉に取られた。トランプなんて、ちょっとおだてれば簡単だと思われているはずだ。
首脳会談は一度中止の方向で話が進んだんだから、やるなら日程をずらして開催しないといけなかった。でも中間選挙を控えているトランプ大統領は、どうしても6月12日に開催したかったんだよ。その足元を見られて、金正恩の思う通りにやられた。
トランプ大統領はCVIDを共同声明に盛り込めなかった点を「時間がなかった」と弁明していたけど、当たり前だよ。事前に水面下で交渉を進めてからトップ会談は開かれるもので、一度中止になってストップした話が急遽動き出したんだから、そんな時間はないだろう。
中間選挙という自分だけの都合を最優先した結果、北朝鮮に主導権を握られた。北朝鮮側は「体制保証」を得たんだから、完全に勝ちだよ。
ただ、共同声明には盛り込めなかったけど、アメリカの大統領と非核化に関して約束を交わしたわけだから、北朝鮮もリスクは背負ったと思う。口約束とはいえ、守らなかったらアメリカはこれまで以上の制裁を加えるだろうから。