岩盤規制がんばんきせい
関連省庁や業界団体などが規制の緩和や撤廃に強く反対すると、改革が進まずイノベーションも起こらない。1980年代以降、経済成長のためいろんな分野で規制緩和が行われたが、その中で既得権益を持つ関係者の強い反対にあって問題の解決が後回しにされた「医療」「農業」「教育」「雇用」などの分野は、特に“岩盤規制”と呼ばれた。
安倍政権が“規制改革の突破口”と位置づけている国家戦略特区は、岩盤規制においても規制緩和を実現。農林では「農業生産法人の要件緩和」や「企業による農地取得の特例」など、医療・保育では「外国医師の受入れ」「医学部の新設」など。雇用・教育の分野でも雇用条件の明確化を狙った「雇用労働相談センター」の設立など規制緩和が実現している。
加計学園問題で注目された獣医学部の新設も、2007年の11月に愛媛県今治市などによって構造改革特区に申請されて以来、長年、実現できなかった岩盤規制。「国家戦略特区ではスピード感をもって規制改革を進めるべきだ」との安倍首相の指示のもとで、地域の実態や事業者の声に耳を傾け、できるだけスピーディーに実現をすべく、内閣府が制度を所管する関係省庁と厳しい折衝を行った結果、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」という話になったのかもしれない。
今までは規制で守っている政治と、規制に守られている業界との利害が一致していたために、ども規制も岩盤のごとく崩せなかった。ところが、経済状況や社会構造が変化するなかで、今までのやり方ではうまくいかなくなったから、規制が崩れはじめた。その中でも、崩れにくい規制が岩盤規制と呼ばれているだけで、規制はどんなものでも崩すのに大変な労力がいる。
規制改革論者の僕は、岩盤規制があるところには「既得権益で潤っている汚いやつがいる!」と思っているから、岩盤規制はすべて崩してしまえとさえ言いたい。国家戦略特区で獣医学部の新設が決まり、岩盤規制を崩したと安倍政権はアピールしているけど、農協とか、ほかに崩す岩盤規制がたくさんあるだろ!