賃上げちんあげ
戦後2番目に長い好景気を作り出したとされているアベノミクスだが、一方で「実感が無い」との声もある。収入が増えていないのが、その要因かもしれない。大企業の賃上げ率は、4年連続で2%を超えているが、海外と比較してみると、主要7カ国の中で日本だけが2000を下回っている。日本の労働生産性は直近の5年間で9%伸びたが、物価変動の影響を除いた実質賃金の上昇率は2%にとどまっている。
政府が進める所得拡大促進税制では、賃上げを実施した大企業は最大10%の法人税減税を受けられるが、政府・与党は、2018年度税制改正で、賃上げを促すさらなる減税措置を導入する。
3%以上の賃上げを達成した大企業には、国内の設備投資額が減価償却費の9割以上という要件を加えた上で、給与総額増加分の15%を法人税から差し引く。また、人材投資が過去2年で平均の1.2倍以上の企業は給与増加分の20%の減税措置を受けられる。
中小企業は、賃上げ1.5%以上で給与増加分の15%、賃上げ2.5%以上+人材投資を1割以上増加で、給与増加分の25%が法人税額から差し引かれる。
賃上げによって生産性向上を後押しするのが狙いで、安倍首相は経済界に3%の賃上げを要請。これに対し、経団連は、会員企業にベースアップや定期昇給などで3%の賃金引き上げに前向きに取り組むよう呼びかけた。経団連が賃上げに関して具体的な数値目標を示すのは異例。
異次元金融緩和に、“超”が付く人手不足。製造業の賃金は上がっているようだけど、その他の業界はまだ賃上げが達成されていない。だから、日本人の大半が好景気を実感できていないんだよ。
ジャブジャブにした市中のお金は、一般市民の元へは届かず、株価と地価だけを上げた。3%の賃上げが実現すれば、デフレ脱却への足がかりになるかもしれないね。
賃上げは労働者にとって歓迎すべきことだし、デフレ脱却へ向けても重要だと思う。だけど、減税措置はいいとして、賃上げを政府が要請するのはおかしな話だよね。社会主義国家じゃないんだからさ。
経団連も政府の言いなりになって、呼びかけてるんじゃねえ!って話だよ。耳ざわりの良い、近視眼的なことを言わなくいてもいい。
経営側にとっては、会社の好業績は一時金、いわゆるボーナスで還元したい。ベースアップをすると固定費が増えるし、一度上げた給料をおいそれと下げるわけにはいかないからね。経営の舵取りが難しくなる。とはいえ、労働者の側からすれば、生活の安定ためにはベースアップを望んでいる……。